答え

走る音がする。それにいち早く気がついたのはりんごだ。待ち遠しらしい。

「ほむら。大丈夫良くなった。」

「大丈夫だよ。ごめんね心配させて。」

団欒とした二人を見ていると温かくなった。

「ねえ。お腹すいた。」

私は一番恐れていた事を思い出した。ここには料理する所も食料もない。いやなくて良かったのだ。

「やっとこ定期仕入れしてくれるところを見つけた。」

慎吾は嬉しそうに帰って来た。手には日用品と食料が入っている袋があった。

「さてと。…皆んなに見せたい物があるんだ。ちょっとだけ来てくれない。」

rightで一番ボロい部屋に来た。ここに何があるのだろうか。

「食堂にご案内。」

すぐに分かった。簡易的なキッチンが完成していた。どうやって。

「僕が冷蔵庫をゴミ場から持ってきて使えるように修繕した。ガスコンロはまたゴミ場から使えるのを仕入れた。」

昨日はあんなに受け入れを頑なに断っていたのが嘘のようになっていた。…しっかりとボロい部屋はある程度許容できるようになっていた。

「ほむらりんごに何か作ってあげてよ。」

これで問題は解決か。私が望む理想はこう言う感じの生活だ。誰かを助けて助けられて。

「ありがとうございます。」

そう感謝を伝えてりんごの為に料理をしていた。りんごは私たちを引き留めた。少しだけ戸惑ったがりんごが見ている世界観を壊さないように一緒にいた。

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