第11話 ランクアップ

 あれから一か月


 いろいろなことがあった。

 毎日毎日アダハ森林へと赴き、レッサーゴブリンを狩り続ける日々。

 ゴブリンに見つかってしまった時もあった。

 全力で森の外へ逃げたが、あいつらは遊んでたと思う。そうじゃなきゃ絶対追いつかれていた。なんか笑ってるみたいだったし。

 アダハ森林に棲むとされるアダハウルフっぽいものにも出会った。

 大体大型自動二輪車くらいの体格の狼で、毛は硬そうな灰色であり、敵を見つけると仲間を呼ぶ。

 そう、吠えて仲間を呼ぶ。


 ウオォォォォォォォォン


 ウオォォォォォォォォン


 ウオォォォォォォォォン


 ウオォォォォォォォォン


 まじでこわかった


 走っても走ってもその声は止まず、その数はどんどん増え大きくなっていく。

 運良く、と言っていいかはわからないがゴブリンの集団に鉢合わせて、そのままアダハウルフとゴブリンは戦い始めた。ゴブリンが集団で一匹のアダハウルフを串刺しにし、アダハウルフたちは縦横無尽にゴブリンを食い千切っていく。

 その闘いは壮絶だった。

 この光景を自分が生み出したことに恐怖した。


 薬草を集める方法も教わった。五十銅貨取られたが、ハイマンさんから薬草の種類や特徴、採集方法などを教わった。主に集めているのはオモエナシという薬草で、葉の裏に青い斑点があって止血に使えるらしい。一回ごとの買い取りでは大体十五銅貨くらいだ。


 装備も新しくした。

 短剣が使えなくなったので前よりも長いが、同じように特徴がない剣に変えた。ただ、前よりもリーチが長く切れ味も上がったので大分戦いやすくなっている。今はレッサーゴブリンと一対一なら戦うことができるようになった。二シルバーもしただけはある。


 服も以前より頑丈で全身を覆えるようなものになった。次は革製の胸当てを買うことを目標にしている。バックパックや水筒、剥ぎ取り用ナイフも身につけて、大分荷物が増えてきた。


 少しずつ、少しずつ、必要なものが揃っていく。


 こうやって前に進んでいることが実感できると気分が上がるし、何より楽しい。


 稼ぎが増えたことで、食事の量も質も上がってきて、身体も成長している。


 心なしか剣の扱いにも慣れてきた気がする。前よりも剥ぎ取りに掛かる時間が大分短縮してきたし、森を歩くときに鳴る足音も小さくなってきている。



 そして


「おめでとう、レン。今日からFランクだ」



 ついにFランクになった。


 Dランクまで、あと2ランク


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