FEAR DAYS 

鷹山トシキ

第1話 2021年9月3日

 檜垣太ひがきふとしは釧路に住んでいた。

 市内を釧路川、阿寒川が流れるほか、阿寒湖、春採湖がある。旧釧路市は平地に位置するため山はほとんどなかったが、合併により、白糠町を囲むような形で西側への飛び地ができ、北西部に旧阿寒町の雄阿寒岳などの山岳地帯を含むようになった。北東部は釧路湿原国立公園と隣接し、釧路湿原との境界ぎりぎりの所まで住宅が建ち並ぶ。


 太は既に死んでいるが、冥界で12人までなら人を殺してもいいと神様から言われた。

 目々澤寧 いじめっ子

 遊佐陽一 ガソスタ店長

 羅漢隆太 印刷屋

 累玲音 〃

 六角若葉 〃

 辺見蛍 元カノ

 松永満 悪徳刑事

 蒲生銀次 塾セールスマン

 郡司源 クソ教師

 合田在助 食品社長

 合田順 食品チーフ

 風嵐造助 殺人鬼

 

 早朝に青森県八戸市鮫町の大須賀海岸の南の空で気球のような白い物体が上空を飛行しているのが目撃された。2020年6月17日に宮城県などで確認された飛行物体と色や形状が類似する。被害は生じなかったものの、運用者、用途等は全く不明。


 内閣総理大臣の菅義偉が、同月に実施される自民党総裁選に立候補しないことを表明した。このため、自身の自民党総裁の任期満了に伴い自民党総裁および内閣総理大臣を退任することになる。

 

 窓の外には阿寒湖が広がる。

 特別天然記念物のマリモや、ベニザケの湖沼残留型(陸封型)であるヒメマスが生息する。冬は全面結氷し、ワカサギ釣り、スケート、スノーモービルなどのウィンタースポーツが盛んで、阿寒湖氷上フェスティバル・冬華火などのイベントも開催される。周囲はエゾマツ・トドマツなどの亜高山帯針葉樹林、および広葉樹を交えた針広混交林の深い森に覆われている。


 辺見蛍へんみほたるは阿寒湖の温泉街にやって来た。ピンク色のオシャレマスクをしていた。

 阿寒湖の南側、国道240号と阿寒湖に挟まれた区域に温泉街が広がり観光の拠点となっている。 宿泊施設は、団体対応の大型ホテルのほか、比較的低廉な宿から高級旅館まであり、さまざまな客層に対応する。外湯は、共同浴場として「まりも湯」という浴場が1軒存在するほか、足湯、手湯が設置されている。また手湯は阿寒湖温泉が発祥であるとされ、2カ所の手湯が設けられている。


 温泉街の西端には道内最大のアイヌコタンがあり、土産物店や、飲食店などが並ぶ。アイヌコタンに隣接して「阿寒アイヌシアターイコロ」や「ニタイトー森と湖の芸術館」、「アイヌ生活記念館」も整備されている。ムックリを用いたアイヌの音楽やアイヌ古式舞踊等のショーも開催されている。温泉街の中には、無料巡回バス「まりむ号」が運行されており、各ホテル、ビジターセンター、アイヌコタンなどを結んでいる。温泉街の湖畔には遊歩道が整備されており、遊歩道沿いの埠頭からは遊覧船も運行されている。阿寒湖のチュウルイ島には「マリモ展示観察センター」があり、遊覧船や高速艇でアクセスできる。


 阿寒湖で漁獲されたヒメマスやワカサギをはじめとする淡水魚や、ウチダザリガニ(レイクロブスターとも)などを使った料理が名物となっている。


 釧路警察署捜査一課の松平満まつだいらみつるはチュウルイ島にやって来た。皆、白いマスクをする中彼だけ黒いオシャレマスクをしていたのでブラックってニックネームがついた。

 無量林むりょうばやしに会うのが目的だ。

 彼は現地の人間だ。マリモ展示センターで働いている。

 チュウルイ島は日本最北にある島だ。

 

 無量林に会うのは3年ぶりだ。

 彼はマリモに関して熱弁してくれた。

「マリモは基本的に淡水で生きるが、海水と淡水の混ざった汽水域でも生育が確認されているんだ。阿寒湖のマリモは8月中旬から9月上旬にかけて遊走子(胞子)を放出するが、その割合は低く、栄養繁殖により球状を形成・維持する傾向がある。

 淡水産藻類としては耐冷性と耐暗性も非常に強く、淡水と共に凍結した場合、-20°Cで一日程度の凍結であれば耐えることができ、阿寒湖は真冬になると完全に結氷し、60cmの厚さにもなる氷の下にマリモは閉じ込められるので、冷蔵庫で凍結させず数か月保管しても死滅はしない。逆に暑さに非常に弱く、35℃が限界である。そのため、販売されているマリモを購入した場合、夏場の対策として冷蔵庫での保管が良いと考えられる」

 やっと終わったと思ったが、まだ続きがあった。

「マリモは一般的に水に浮かないものといわれているが、水に浮かんだ個体が阿寒湖で発見された。マリモは光合成により気泡を発生するため、販売されるマリモでも光合成が活発なときにまれに浮くときがある」

 いつまで続くんだ。菅首相みたいだ。

「水質の悪化に弱いことが生息数の減少を引き起こしているとされている。特にカチオン系界面活性剤に弱い。乾燥にも弱く強風や遊覧船の波浪により打ち上げられると容易に枯死する。泥に埋もれたり、シオグサに覆われたりするなどして光合成が阻害されても枯死するが、波浪による回転によってそれらを表面から落としている。この回転運動によって他のマリモの下に隠されたマリモが表に出ることがあり、これによって群生地全体の各個体が光合成を行えている」

 もういいからさ〜、なんでこの人こんなに長いの?病気かよ?

「阿寒湖のマリモは波浪により揺すられ球状になる。30cmほどのサイズまで生長するとより波の影響を受けやすくなり、嵐などによる強風によって湖岸に打ち上げられる。従来、打ち上げられることはマリモの生長にマイナスだと考えられていたが、打ち上げられたマリモはバラバラになり、その破片をもとにまた球状マリモへと生長することが分かった。打ち上げられること自体はマリモにとって数を増やすために必要なことであった」

 

 3年前まで彼は監察医をしていた。

「あの、話をしてもいいですか?」

「あっ、すまんな?俺ばっかり」

「いえ」

「担当の鑑識課員が相次いでコロナに罹ったんだって?」

「そうなんです。春採湖近くにある目々澤めめざわって家で事故は起きました」

 入浴中の目々澤桃子って老婆が亡くなったのは2日の午後8時くらいだ。遺体を発見したのは息子のやすし。桃子と寧の仲があまりよくなかったと近所の人間は話していた。

 💀

 

 釧路署地下室の解剖室に無量林はやって来た。

 桃子の解剖が始まる。

 久しぶりだがメスの腕は落ちていなかった。

「心臓や脳には異常は見られなかった。窒息死の所見があるが、溺死肺ではなかった。俺の推理が確かならば、犯人は座布団か何かで桃子の顔を圧迫して殺害し、裸にして浴槽に入れて水を入れたのだろうな……」

「やはり、寧がやったのだろうか?」

 解剖に立ち会った松平は解剖室を出て、階段を駆け上がり刑事部屋へと向かった。


 蛍はクスリ屋というおかしなネーミングの旅館に宿泊していた。クスリは実はアイヌ語で、釧路はクスリを変化させた言葉だ。

 旅館の主はかつては薬局を経営していたが、あまり売れなくなり解決策として薬局の中に病室を置いたら大繁盛、部屋を拡充してホテル化した。

 喉が痛かったので漢方を買った。

 露天風呂もなかなかよかった。

 病院で治療が受けられず、ホテルに入院し凄惨な目に遭うというニュースを最近見た。

 蛍の祖父は刑事だった。

『昭和43年頃はまだ、定年制がなかった。警部職なら55までに勇退すれば退職金が5割増しだった。70過ぎの刑事とか珍しくなかったよ』と話していたのを思い出した。

 蛍はべっ甲風素材のサングラス、アシンメトリーなポケットのジーンズ、ホワイトマウンテニアリングのパーカーという出で立ちをしていた。

 チェルシーブーツという、元々は雨具のブーツを履いて街に出た。


 釧路には85歳まで生きられる不思議な薬があるって噂だ。不老不死なら怪しいが、85ってところが真実っぽい。ネットで見て居ても立っても居られず、東京からやって来た。蛍はネイルサロンで働いていた。

 有給を3日使って釧路を散策する予定だ。残り2日しか残っていない。

 釧路駅チカのレンタカー屋でマーチを借りて、国道44号線を走った。スマホアプリ『Spotify』で山口百恵の曲を聴いていた。無課金だから広告がうるさいが仕方ない。

『曼珠沙華』『秋桜』『いい日旅立ち』と続く。

 1時間26分で霧多布湿原に到着した。夕陽に染まる花の湿原を眺めた。ラムサール条約に登録されたここは水鳥の楽園だ。

 湿原の中に宝箱とかないかな?

 ワクワクしながら探索、Androidにイヤホンジャックを差して『乙女座宮』を聴いた。

 不気味な鳥の声がした。

 高台に立つ霧多布湿原センターってところに立ち寄ったが17時で終わりだった。

 カフェや浜中町の産業を紹介する展示があるらしいが残念。

 マーチに再び乗り込み、霧多布岬を目指す。

 山口百恵に飽きたので中森明菜にした。

『禁句』『飾りじゃないのよ涙は』

 赤と白の湯沸岬灯台の先に、遊歩道が設置されている。

「あっ、ラッコだ!」

 🦦

 

 檜垣は『awe』で遊んでいた。aweは英語で畏怖って意味だ。スマホ位置ゲームで、地域ごとにストーリーが変わる。釧路編ではどんな展開になるのか?

 宵闇のモシリヤチャシにやって来た。

 モシリヤチャシとは北海道釧路市城山に所在するアイヌの人々が築いた砦。別名「お供え山」。

 「モシリヤ」とはアイヌ語で「島のある川」、「チャシ」は「砦」の意である。


 構造は、北東側三段、南西側二段の変形鏡餅。直径約170メートル、短径約70メートルの楕円形の丘で内郭と外郭に分かれ、内郭の周囲には空堀がめぐらされ、堀を掘った土を盛り上げて土塁にしていた。


 伝承では、1751年(寛延4年)にトミカラアヤノというアイヌが築造したとされている。


 1935年(昭和10年)に同市内にあるチャランケチャシや春採台地竪穴群とともに「モシリヤ砦跡」の名称で国指定の史跡に指定された。


 アプリを起動させた。

 妖怪が出現した。  

 ミントゥチというアイヌに伝わる水棲の半人半獣の霊的存在。河童に類する妖怪ともいわれる。


 背格好は3歳から12,13歳の人間の子供と同程度で、頭には髪があって河童のような皿はなく(しかし頭頂は禿げており肉質であるともされる。また石狩川の河童は、頭が禿げていても男女の区別があると、近文コタンから採集された話の冒頭に語られる。


 皮膚はウミガメのようで、その肌色は紫色か赤色に近く、足型は鳥か鎌の形に似ている。両腕が体内でつながっており、片腕を引っ張るともう片方が短くなる、あるいは両腕ともに抜けてしまう、とも伝わるが、この伝承は河童についても言い伝えられるものと同じ身体的特徴だと指摘される。


 人間や牛馬を水中に引き込んだり、人に憑いたり、女に憑いて男を誘惑するという伝承もみられるが、これも本土の「河童の駒引き」伝承と共通するものである。また、釧路では、濃霧の夜などに不意に前方に人影が現れ、呼びかけにも答えずに前へ歩いていくことがあり、その足跡が鳥のようなので妙だと思っていると、その人影が消えて背後に回り、ミントゥチが隙をついて水中に引きずり込んでしまうという。ミントゥチによる危害や、逆にご利益については追って以下に触れる。


 河川や湖に棲む、概して邪悪な人魚の一種であるが、ただし「善良な人魚」ピリカ・ミントゥチと称される山の精もいると、ジョン・バチェラーは説明している。人を捕らえては食らう恐ろしい水妖か水精とされるが、以下に説明するように、川(漁労)の精も恩寵をもたらすし、山(狩猟)の精も怒らせれば災禍をもたらす。


 ミントゥチは魚族を支配する神でもあるため、漁師たちに漁運を授けることもするが、それと引き換えに水死者の犠牲も増やすのだという。石狩地方ではミントゥチが魚をたくさん捕らせてくれたが、その代わり毎年必ず何人かを殺すので、人々が日高の静内(現・新ひだか町)のほうへ移って欲しいと頼んだところ、水死者はなくなったが、魚も捕れなくなったという。また旭川市の近文集落に婿入りしたというミントゥチも、豊漁をもたらしたかわりに川での水難者増加の張本人だと発覚し、追い払われてシビチャリ川(静内町)に移住したとされる。


 また、山の狩猟で獲物をもたらすものとも信じられている。ある伝承ではミントゥチの頭領をミントゥチトノといい、弓矢をたずさえていて、人の難を救ったり、弓矢を与えたりするが、その返礼に神酒や神幣を要求するので、それに応じなくてはならないとされる。ただしこのときのみてぐらは、通常の神に捧げるイナウより簡易なものにすべきだとされる。またミントゥチが若者に化けて若い娘のいる家に婿入りし、猟運や幸をもたらすが、怒らせるとその地域一帯の食料の霊をさらっていくという、恐ろしい面もある。旭川や沙流川では、ミントゥチが人を守護するという話もある。


 超回復アイテムなどはQRコードを照射して入手する。ドラクエで言ったらベホイミに相当。

 回復アイテムや魔法、鎧などは飲食店や公園などで入手する。どこに何があるかは行ってからのお楽しみ。




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