嵌められた元勇者 〜チートスキル《破壊者》で魔王と共に下克上〜

第8話 元仲間

「バルラン！！」

魔王によって引っ張り出されたこいつは元仲間、宮廷魔道士バルランだ。

「ひ、久しぶりだな…龍一。い、生きてたんだな…良かった…！」

「お前……俺に何か隠してないか？」

『バルランとやら！他の奴らは騙せても、我のこの魔眼は騙せんぞ！隠し事はせん方が身のためだ！』

「…魔王……！！…わかった……。あの時何があったか話そう…ただ約束してくれ！！話したら俺を助けてくれると！！」

「何を言ってる？それを決めるのはお前じゃない。勘違いするな。今消されたくなければ早く話せ。なにか知ってんだろ？」

「…くっ！！…お前は…騙されたのさ…お前だけじゃない！！俺もみんな……あいっ！！？」

それは一瞬だった。

たった一瞬でバルランの下に【闇】が現れ、あいつは吸い込まれた。

『「？？！！！」』

「い、今のは……」

『あぁ、我の〔ブラックホール〕に似てたな…しかも超スピードでスキル生成、発動しやがった…』

「ま、魔王様と…同じスキル…ですと？！」

「ねぇ龍一くん…何がどう…」

「いや、俺にも分からない…」

それより、いま出来ることは…

「おい！国王！その転生者達は何故拘束されている？！」

「そ、それが…分からないのです！！いつの間にかこのような状態で…」

「はぁ？！ふざけるのも…」

『いや、待て龍一よ。国王とやらは嘘は言ってなさそうだぞ。我の眼にはそう映る』

「そ、そうなのか…？」

本当か？

この場面で信じられるのは誰なのか、

いや、信じたいのは誰なのかを見極めないといけないな。

先程のバルランの消え方。

あれは〔ブラックホール〕か？

だとしたら魔王が何か言われて都合が悪かったのか？

国王も意味不明だ。転生者の拘束もよく分からないだと？いつの間にかとは何だ？

国王の指示無しでこんな転生者に手荒な真似をするだろうか？

「国王！その拘束した者達を解放しろ！」

「承知致しました。ほれ、何をしとる！早く解いて差し上げろ！」

そう言われると、国王軍の兵達はすぐさま解放し、クラスメートは自由の身になった。

「龍一ーーーっっ！！」

「天神くんっっ…！！」

「君島さんっっ…！！」

クラスの奴らは走って龍一達の元に駆けつけた。泣く者、声が枯れて言葉にならない者、傷だらけの者、身体中あざだらけの者、そして…

「…おい…！！…どうした…その左手…その目は…？！」

「さ…斉藤…くん…っ！」

クラス1の体力自慢だった剣道部のキャプテン、斉藤一の左手首から先と左目が無くなっていた。

「…龍一…愛…すまねぇな…助けてもらって情けねぇ姿で…」

「何があった…？」

「…俺達は…ここに来て……」

何かを思い出す様に皆泣いている。

嗚咽しながら泣いている。

あるいは吐くものもいた。

年頃の高校生という体裁も何もない。

「…俺達はオモチャにさせられたんだ…！！！」