第4話 スキル{ブラックホール}

俺たちは魔王に会いに行く前に、

君島と一緒に召喚されたクラスメートたちの身を案じ、宮殿へ向かっていた。


「もう少しで着きそうだな!」


君島が俺の倒れていた場所まで走ってこれたくらいだ。

さほど遠い場所ではない。


あと一息で着きそうな時、突如【夜】になった。

先程まで見えていた突き抜けるような青空や、

ふわふわと浮かぶ雲が全て消え、

頭上には暗闇

いや【濃い黒一色】と言った方が正しいのかもしれない。


この状況の中、龍一は

笑っていた。


歓喜に満ち溢れ、まるで初めての恋人が出来たかのように、

動悸と興奮が収まらずにいた。


「…え!!!!なに?!今度は…!!?ねぇ!」


「こ、これは…まさか…!おい!貴様っ!」


「…あぁ…{ブラックホール}だ!!!」


「「?!」」


「そうだ、これは俺との戦いでしか使わなかったあいつのスキルだ!!魔王は…生きている!!!!」


「いや!それよりもこんな莫大な範囲!!!私たちも消えちゃうの!?」


「大丈夫だ!俺のスキル{森羅万象}があれば…」


無いーーー!!!

忘れてた!俺としたことが!


頭上の暗闇はうねり始め、空間が歪んできているかのように見える。


早くしなければ!

スキルは消去されてたんだっけ?!

何があるんだ?!


{破壊者}{ホワイトホール}


よく分からんが、ブラックホールの反対そうだからホワイトホール使ってみるか!!


「スキル{ホワイトホール}!」


ホワンッ


目の前にバレーボールほどの大きさの白い渦が現れた。



「え?何?それがあれば大丈夫なの?ねぇ龍一君!」


「…いや…うぅん…」


「魔王様ーーー!!私はここにいますよーーー!!魔王様ーーー!」


オークキングは渦の中心の真下に向かって走り出していた。


「っ!!あのバカッ…!!」


空を覆い尽くす渦は頭上いっぱいに広がり、徐々に小さくなっていく。


「あれ?なんか渦小さくなってるよ?ねぇねぇ大丈夫じゃない??」


「違うっ!!あれが目に見えないくらい小さくなった時、その点を中心として膨大な引力が働いて吸い込まれ…全て消える!!!」


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」


「うるさいっ君島っ!!ちょっと黙れっっ!!!」


俺は平静を装っていたが、心臓が喉から飛び出そうで、気が気じゃ無かった。

先程のスキル{ホワイトホール}も役に達そうに無い。

もう一つのスキル{破壊者}は{ブラックホール}と相性が悪そうだが、使ってみるしかない!


「スキル{破壊者}!!」


………

何も起きない。


嘘だろーーーー!!!

ふざけんなよ!!

せっかく魔王と会えるかも知れないのに、あいつの技で死ぬのか?!


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