あやかし猫寺の秘密

古寂湧水 こじゃく ゆうすい

第1話

1

明日香王国は観世音菩薩の立案により現国王の祖父が異次元に50年前に造った太平洋とインド洋それに太西洋にまたがり、露死阿の20倍の国土面積を領しているが2年前に現次元に現国王が主導して接続した。太平洋があった東大陸は東京とほとんど同じ緯度に10万坪の王宮があり、その裏山に三山が連なった広大な敷地の観世音寺がある。


現王様の前に8年間国王代理として政務を担当していたが、現国王と交代して副法王で住職としておられる。この老師は国王の祖父の仲間で国づくりに共に励んだが、もう1人インドの南の大陸の世界最高峰8,888メートル如来山の近くに5,555メートルの菩提山があるがそこに末寺200か所を束ねるカイラス寺がある。そこで同じく副国王で住職のこの二人の昔の仲間である老師である住職がおられる。


王宮があるところは観世音寺の門前であるから門前町である。

その山門の近くにネコ寺がありネコが芸をすることで有名になり、多数の参拝客が訪れる。

2

そのネコ寺の本殿の近くに新門辰五郎の7歳の娘タエの子分であるター坊6歳の両親がやっている店の猫屋とよっちゃん5歳の家の副猫がある。本山の老師の許可で資格を取り、人生相談や占いができるとともに王様がデザインした15種類のグッズといろいろな宗教グッズに縁起物も販売をしている。


ここのネコの芸はタエが主導して仕込み、同じ境内でこちらも人気の猿回しもタエが中心となって昔の江戸から超能力を借りて招聘したものである。タエは子分の2人を連れてネコ寺の様子を見に来ている。タエ[あんたたちの店は結構忙しそうで、相談も入っているようね。]ター坊[忙しすぎると手伝いで呼ばれるので、このくらいがいいですよ。]よっちゃん[そうだジョー。これくらいがいいジョー。]


タエ[市長からお父さんに依頼があって、もっとお客さんを呼べるアイデアはないかって言われたんだけどなんかない。]ター坊[それは簡単でしょう。もっと猫に芸をやらせればいいんじゃあない。]

3

ネコ寺が有名になったのは和尚さんが毎朝の勤行で、お経を唱えている時に数匹の野良猫がどこからかやってきて一緒にお経を唱えるようになってからである。


もちろん猫はミャーミャーしか言えないが、数か月続いているうちに猫の文様である茶トラやキジトラそれに白猫や黒猫の毛色の上にチベット僧の衣のような、少し薄いがエンジの僧衣上の文様が地毛に被さったように現れてきたのである。それと同時に少しであるが霊力が付いたものも出てきて日本語も理解できるのもいるようだ。


タエがボスネコの茶トラと交渉して40分のステージを2回やることで合意をしている。そこまでになるにはネコ達の条件闘争があり、やっとのことで解決をしたのであるが、普段はキャットフードだけなので煮干しを1匹つけるので40分を2ステージやってくれと言ったらプイという感じで何処かに行ってしまった。そこで和尚さんの支援を得て、週1回で中型鮮魚の鰺1匹を煮干しの他に提供することで合意した。

4

どんな芸をやるかと言えばちょうど女子高生が日曜日で遊びに来たので見てみよう。

女子高[ここが人気の所ね。]ギャラリーが15人ほど集まってきたので、お坊さんが[掌を上にして出せばネコちゃん達が手を上にかぶせてありがたいことをのたまいます。芸をうまくやりましたら強制ではありませんが、いくらかお賽銭を入れてくだされば猫たちも私達も感謝をいたします。


それでは掌を上にして猫の前に出してください。]全員が手をだしている。最初に”どうしたの?”という感じでミャンミャンミャンと普通の声で鳴いて、一呼吸おいて”ミャンミャンミャー!!”と声を尻上がりに大きくして、”もっと頑張らなくちゃあ駄目でしょう”というような感じでやると、だいたいが”キャーッなにこれ面白~い”ってなことになりお賽銭をいくらか入れてくれる。


もし入れてくれない場合は細長い木の賽銭箱をバンバンと叩くので、それも面白がって全員が入れてくれる。

5

ボスネコの茶トラがステージを終えて、ちょうどやってきたのでタエが聞いてみた。[トラちゃんご苦労さん。皆が喜んでくれてとても良かったよ。そこでお昼からみんな暇だと思うけど、2つのお店でなんか他のお客さんが喜んでくれるような芸がないかしら。]


ミャーンと2・3秒経ってから、右手を上げて先っぽを少し曲げてミャーンと鳴いた。ター坊[親分、これもいいですよ本物の招き猫ですから。]タエ[おもしろいけれど一発芸だから待っているのがたいへんね。][ネコ占いや人生相談の時に一緒にいて、合図を送ったら”その通り”ってな感じでミャーミャーって力強く鳴くのもいいジョー。]


タエ[もっとよく考えてみよう。トラちゃんまたよろしくね。]”ミャー”タエ[いいアイデアがない時には原点に返ることね。][ボクにいいアイデアがあるジョー。言うのがもったいないジョー。][ダイにウメちゃん生意気なよっちゃんのケツをかじっていいよ!]ワンワンワン。[痛いのはダメだジョー。]

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