今度こそ、別れましょう。

CHIAKI

第1話 決意宣言

2018年12月某日 水の教会 北海道トマム


真冬の寒さを恐れず、秋山あきやま晴夏はるかきし真琴まことが一緒にここへやって来た。この時期だと、敷地内のホテルに泊まる宿泊客は結婚式がない時に教会の見学ができるので、二人はこれを目当てに急遽東京から遠く離れた北海道まで来た。


晴夏と真琴は高校時代からの親友で、昔からずっとこの教会を憧れていた。何度もここへ来たいと言いながらも、いろんな理由で、大人になっても全然行動に移すことはなかった。今年こそやり遂げたいと思って、二人は久々の女子旅を決行した。


そして、この旅は二人にとってもう一つの意味があった。


今日の見学客は二人しかいなかったので、案内人の説明が終えた後出ていた。二人きりになった彼女たちは別々のベンチに座り、静かに全面ガラスの向こうにある冬景色を眺めていた。大きな十字架の周りに降り積もる白い雪が外の照明に照らし、キラキラ輝くに見えていた。教会内はコンクリートの壁が冷たいように見えたが、蝋燭の優しい光が揺らぎながら教会内を温かくしたおかげで、外の世界にある厳しい寒さとは強烈な対比になった。


二人はただ何も言わず頭の中にある決意を改めました。


「マコ、本当にここへ来られて良かった。ありがとう、こんな急に誘ってもついて来てくれて。」

「ハルのお願いなら私はいつでもOKだよ。で、もう決めたの?」

「まあね。もうこれ以上は耐えられないし、そろそろ決断しないと。マコこそはどう?」

「ここへ来る前に、まだ悩んでいたけど。不思議なことに、今はもう迷わない。」

「私たちって、本当にもっと早く決めれば…」

「何回も失望して、何回も傷つけて、それでやっと目が覚めた。遅いだけど、まだ間に合うと思うよ。」

「マコは本当に論理的で、私は感情的になりやすいだ。てっきりマコの方は先に決断をすると思った。」

「ハルはこう見えて、実は私より決断するのが速い方じゃない?私は何年も待ち続けた理由はただ諦めたくないから、失敗を認めてたくないからだと思う。」

「まあ、この旅行を機に、来年の私たちは振り向かずに前を進めばいい。過去の失敗とおさらばだ。」

「本当にすべたを乗り越えた時、またここへ来て新しい人生を手に入れることをお祝いしよう!」

「いい提案だね!そう決めよう!」


またここへ来る時、二人は必ず生まれ変わって見せるから、絶対に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る