第16話 チンピラを一蹴
スラム街で、チンピラたちに囲まれているところだ。
「それじゃ、行くぞ!!」
「「おうよ!!」」
男たちが一斉に襲いかかってきた。
「遅いな」
俺は先頭の男の腕を取り、そのまま投げ飛ばした。
「ぐわぁーーーーーー!!」
男は建物に叩きつけられて、動かなくなった。
「まず1人」
「このガキぃ!!」
別の男が斬りかかってくる。
俺はそれを受け止め、腕を掴んだまま振り回す。
「うわぁーーーーーーーーーー!!!」
男は叫び声をあげながら、他の男を巻き込んで吹っ飛んでいった。
「これで3人」
残りは3人だ。
「このクソアマが!!」
「ぶっ殺してやる!!」
「死ねや!!」
彼らが同時に襲いかかってくる。
「やれやれ。芸がない」
俺は襲いくる3人の攻撃をかわした。
そして、すれ違いざまに拳を叩き込む。
「ぎゃあ!?」
「ぐぇえ!?」
2人は一撃で倒れ伏す。
「くそぉ!! 何だこいつ!!」
残った1人はようやく俺の強さに気付いたらしい。
武器を捨てて逃げようとする。
「逃すかよ」
俺は逃げ出した男の襟首をつかんで持ち上げた。
「放せ! ちくしょう! 放しやがれ!!」
男がジタバタともがく。
「無駄だよ。俺からは逃れられない」
俺はそう言って、腕に力を込める。
「ひいっ!?」
「さて、どうしてやろうかな?」
俺は男の顔を見た。
恐怖で歪んでいる。
「助けてくれ! もう二度とこんなことはしないから」
「ん? 本当か?」
「ああ! 約束する」
男が必死な様子でそう言う。
「よし。それじゃ、お前たちがなぜ俺を襲ったのか教えてくれ」
「……わかった」
俺は、彼から事情を聞いた。
彼らはこの町の住人らしく、生活が苦しくて仕方なくやったことらしい。
「そうか。大変だったんだな」
「そうなんだよ! だから、見逃してくれ!!」
「お前はバカか? 俺を痛めつけて売り飛ばそうとしたやつを、見逃すとでも思ったか?」
いくら生活が苦しくても、やっていいことと悪いことがあるだろう。
まあ、今回は未遂だったけど。
「頼む! 命ばかりは勘弁してくれ!!」
「ダメだな」
「そんな……」
絶望的な表情を浮かべる男。
ちょっとかわいそうになってくるな。
自業自得だけど。
「じゃあな」
俺は手に魔力を込め、振り上げる。
「待ってくれ! 何でも話すから!」
「もういい。聞きたいことは全て聞いた」
「そんな!?」
男が悲壮な顔をする。
それに構わず、俺は拳を振り下ろす。
「やめろぉーーーー!!!」
悲鳴をあげる男。
だが、俺は拳を止めない。
次の瞬間……。
ドゴーンッ!!
俺の魔力を込めたパンチが、男の顔をかすめて地面を砕いた。
「ひいぃーーーーー!?」
あまりの出来事に、腰を抜かし失禁する男。
「命だけは助けてやる。これに懲りたら、二度と同じことをするんじゃねえぞ」
「は、はいぃ~!!」
男は泣きながら何度も頭を縦に振った。
彼は倒れている仲間たちを必死に起こして、退散していった。
こうして、俺は無事にチンピラを撃破したのだ。
「ふぅ。終わったな」
「そうじゃな」
「しかし、食糧難の原因は彼らではないようだ。むしろ、被害者の一部であるとも言える」
まあ、いくら困っていても見ず知らずの少女(俺)を捕まえて売り払おうとするのは許される行為ではないが。
多少の情状酌量の余地がある程度だろうか。
問答無用でぶっ殺してやってもよかったが、恐怖を植え付けてやれば今後役に立つことがあるかもしれない。
「次はどうするのだ?」
「そうだな。やはり、冒険者ギルドに向かうか」
「うむ。それがよいだろう」
というわけで、再び町の中心部へとやってきた。
途中で屋台などを見て回りつつ、冒険者ギルドを探す。
先ほどのスラム街ほどではないが、この町は全体的に寂れているようだ。
やがて、大きな建物を発見した。
看板には『冒険者ギルド』と書かれている。
ここで間違いないだろう。
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