第7話 ユーリとの熱い夜
町を歩くこと10分。
「ここが『憩いの宿』みたいだな」
「ふむ。なかなか大きな建物じゃの」
たどり着いたのは、そこそこ立派な宿屋だった。
中に入る。
カウンターに、1人の女性が立っている。
「……!? ……よ、ようこそ、憩いの宿へ! 当店にご用でしょうか?」
彼女は俺の格好を見てギョッとしていたが、すぐに持ち直した。
さすがは接客のプロだ。
客が猫の着ぐるみを着ていようと、客であることに変わりはないのだ。
「ああ。とりあえず1泊したいんだが、大丈夫だろうか?」
「もちろんでございます。一部屋あたり銀貨5枚、朝食と夕食付きで銀貨7枚で承っております」
「わかった。2人で2部屋、1泊分の料金を払っておく。それと、食事も頼む」
「かしこまりました。それでは、こちらの紙に記入してください」
そう言って渡されたのは、顧客名簿のような紙だった。
名前を書き込む欄がある。
俺はさっそく記入しようとするが……
「待て、カエデよ。部屋は1つで問題あるまい?」
ユーリがそんなことを言い出した。
「どういうことだ?」
「我とお主が一緒に寝ればよいではないか」
「それはマズイだろう。仮にも、男と女。一夜の間違いがあったら……」
「何を言っておる。我らは二人とも女であろうが」
「え?」
ユーリは妙なことを言う。
彼女が女であることは間違いない。
しかし俺は男だ。
「って、ああ。そうか……」
俺はこの世界に来て、なぜか女体化したのだった。
俗に言うTSである。
心はまだ男のつもりだが、体は完全に女になっている。
「わかったよ。……じゃあ1部屋で、1泊分の料金だけを払うぞ」
俺はそう言って、宿屋の店員に銀貨を渡す。
「はい。確かに受け取りました。こちらが鍵になります。どうぞごゆっくり」
「ありがとう」
俺は鍵を受け取り、自分の部屋に向かう。
「ふう。ようやく休めるな」
俺はベッドの上に倒れ込む。
今日は色々あった。
まずは、この世界に転移した。
森を彷徨った。
世界樹の精霊であるユーリに出会った。
彼女の依頼で、森に巣食うゴブリンを討伐して回った。
この町にやってきた。
冒険者登録をした。
魔石を換金した。
そして、この宿にやってきた。
「明日からどうしようかな~?」
魔石を売ったおかげで、所持金が0からそれなりの額になった。
宿代を払っても、まだまだ余裕がある。
「しばらくはゆっくりするのもありだな。いや、それほど疲れていないし明日も活動するか?」
この猫装備のおかげか、身体的な疲労はほとんどない。
精神的にはそこそこ疲れているが。
「まあいいか。とりあえず、少し眠ろう。ユーリも適当に休んでおけよ」
「ふふ。もちろんじゃ」
ユーリが何か悪い顔をしているような気がしたが……。
きっと気のせいだろう。
俺は目を閉じて眠りについた……。
………………………………。
「カエデー! 起きろー!」
誰かの声が聞こえる。
「……ん?」
目を開けると……そこには全裸のユーリがいた。
「え?」
「ほれ、早く起きるんじゃ」
「ちょっ!?」
彼女は、俺に抱きついてきた。
「な、何やってんだよ!?」
「お主に夜這いをかけておる」
「やめてくれ!!」
「安心せい。本番はまだしないからの」
そもそも、今の俺にナニは付いていない。
本番などできるわけがない。
「そういう問題じゃない!!」
「なんじゃ、照れておるのか? 可愛いのう」
「うるさい!」
俺は慌てて彼女を突き放そうとする。
しかし、思うように力が出ない。
この原因は……
「なっ!? 俺の猫耳装備は!?」
今の俺は下着しか身につけていない。
「ん? 邪魔じゃから、脱がせておいたぞ。ベッドの横に置いてある」
ユーリがそう言う。
マズい……。
あの装備がなければ、俺は無力だ。
「ふふふ。そう言えば、あの装備はずいぶんと強力なのじゃったか? 今のカエデは無力で可愛いものよの」
ユーリが不敵にそう言う。
「な、なぜこんなことを……」
「それは、我がお主のことを好いておるからに決まっておる」
「……好きになられた覚えはないんだけどな」
「言っておらなんだか? ゴブリンどもを殲滅し、我が森を救ってくれたのじゃ。好意を抱かぬわけがない」
「あれは成り行きというか……」
「それでもじゃ。感謝しているのじゃよ。だから、今夜くらい良いではないか」
ユーリはそう言うと、再び俺に飛びかかってきた。
「うわぁ!」
俺はなんとか彼女を避ける。
「待て待て待て!! 落ち着け! 一旦冷静になろう」
「問答無用じゃ! そりゃあ!」
ユーリは俺に襲いかかってくる。
「くそぉ!」
俺はどうにか、彼女の攻撃をいなしていく。
しかし……
「バインドじゃ!!!」
ユーリの魔力が高まったかと思うと、植物のツタがどこからか伸びてきた。
「うおっ!?」
俺はそれに拘束される。
「これで終わりじゃ。ふふふ」
ユーリは勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、ゆっくりと近づいてくる。
そして、俺の股間に手を伸ばしてきた。
「ひゃんっ」
今の高い声は、俺の声か?
自分の声を抑えられない。
「お主のここは期待しておるようじゃぞ?」
「あっ……」
ユーリの手が俺のパンツの中に入り込む。
そして、そのまま小刻みに動き始めた。
「や、やめ……」
「ふふ。気持ちいいか?」
「うぅ……。あ、ああっ!」
ユーリの指使いは巧みだ。
気持ちがいいところを的確に攻めてくる。
「よいよい。このまま果ててしまうがよい」
彼女の手が動く度に、俺のあそこから水音が聞こえてくる。
「あ、あ……」
「ふふ。もうすぐじゃな」
その言葉通り、俺は限界を迎えようとしていた。
「だ、ダメだ。出ちゃう……。何かが出る」
「出せ、カエデ」
「あああああああああああああああっ!!!」
次の瞬間、俺の中から熱いものが吹き出した。
「おお。見事な潮じゃな」
ユーリがそう言う。
潮を吹いたのか?
俺が……?
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
俺は全身を弛緩させ、ベッドの上で脱力していた。
「これが絶頂というものじゃ」
ユーリは満足気な表情でそう言った。
「うう……。恥ずかしい」
俺は顔を手で覆う。
「気にすることではない。今の我らは女同士なのじゃから」
「そういう問題じゃない!」
「まあまあ。落ち着くのじゃ」
彼女は笑いながら、俺の隣に寝転ぶ。
「さて、それでは続きを始めるとするかのう」
「え?」
「夜はまだ長いからの。せっかくの機会を逃すわけにはいかん」
「いや、ちょっと待ってくれ……」
「待たん」
「あ……」
こうして、俺はユーリに攻められ続けた。
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