2.王さまと大臣と魔法の薬

「王さま。おもしろいものが手に入りましたぞ!」


大臣がさっそく魔法使いのくれた薬のことを説明すると、王さまは大喜びで、


「それはすごい!わしは前から、一度でいいから、鳥のように空を飛んでみたいと

思っておったのだ!!」


と、いいました。

大臣もにこにこして、


「そうですな。鳥になって空を散歩するというのも、なかなかおもしろそうですな。

それに、魔法使いも、動物になると人が人から隠そうとする、おもしろい姿を見ることができるといっておりました。」


と、王さまの意見に賛成しました。


鳥になることを決めた二人は、魔法の薬を「ぐっ」と飲み干して、


ゼルオ、オゼ、リドゥムゼルオドルムよ、御照覧あれ!!」


と、おまじないの言葉を唱えました。

すると、身体がぐにゃりと曲がったような心地がして目の前が真っ白になりましたが、それも一瞬のことで、目を開けた王さまは、びっくりしていいました。


「大臣! 本当に鳥になっているぞ!!」


「王さまも、鳥になっていますよ!!」


大臣もびっくりしていいました。

二人はしばらくの間、しげしげとお互いの姿を見比べておりましたが、心が落ち着いてくると早く空を飛びまわってみたいという気持ちがわき出てくるのでした。


最初、王さまと大臣はうまく飛ぶことができるか不安だったのですが、試しにつばさをばたばたと動かしてみればなんなく身体が浮くではありませんか。


「飛んでいる。飛んでいるぞ!!」


二人はうれしそうにそういうと、さっそく窓から外へ飛び出しました。

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