Acta est fabula
@axlglint_josyou
本編
Prologue
─────────決着のついた大地は、あまりに静かだった。
金色の長髪を靡かせる男は、槍を収める。
勝者が誰なのか、語るべくもない。
「如何だったかな、黄金獅子よ」
その横に現れる黒い長髪の外套を纏った男。
目の隈が深く、顔は厳つい青年ながら雰囲気は老人のそれ。
黄金獅子と呼ばれた男は、外套の男の方に向かずに答える。
「良い余興だった。しかし──────」
概ね満足。しかし、そうしかし。
「ああ、おまえの望みは最早叶うまい。
囚われた魂は、囚われたまま。
私たちも既知に囚われたままになるだろう」
未だ、彼らは向き合わない。
なんとも虚しい勝利となった。
であればやはり、双方納得いかない。
「如何する、黄金獅子。私の友よ」
「語るに及ばん。これで良しとすると思うかね?そう思うなら駄馬にも劣る」
「まさか、おまえが言わずとも回帰したとも」
そんな掛け合いをして、ふと笑みを浮かべる。
多少の退屈さを想いながら。
この退屈さ、もはや慣れたもの。
「卿とは、前にもこのやり取りをしたな?」
「然り、何万回も繰り返した」
消えぬ既知感。
前にもこんなことが起きたような気がする、といった感覚。
彼らは常にそれを味わってきた。
「それでは、任せよう」
「承認した」
外套の男は、目を見開いた。
「
宣誓──我が
外套の男は、“神”として言の葉を天に告げる。
「我が真理は未知への渇望────望む未知を描くまで、那由多の果てでも繰り返そう
完遂───我が神名は永劫回帰」
世界を侵す程の渇望、それが外套の男の真価。
黄金獅子と共に、いざ行かん。
「
瞬間、彼らはこの時間から消え去った。
この先、彼ら存在しない。
何故なら、彼らは過去に戻ったから。
未知の結末を、今度こそ手にするべく。
「────それでは、今宵の
手を広げて、何度目かもわからぬ舞台を前に世界へ告げる。
「その筋書きはありきたりだが、役者がいい、至高と信ずる
故に────面白くなることだろう」
幕を開ける。
此度はどうか、役者の皆々様が納得のいく結末に至れる事を願うばかりでございます。
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