32-短編
那住錆
体液
排他されてきた経験が敏感に纏う空気を察知するのか、それとも言動から滲み出るものがあるのか、同族同士を見つけるのは出会って仕舞えば以外に簡単だったりする。最近知り合った取引先の相手から数度言い寄られ心中うんざりしていたが、その憂さ晴らしの方向性が本の出来心の引き金となった。
贈られた香水を数度会合の後に体に匂いを纏わせて帰宅をすれば、三段通り男が反応を示す言動を取った。然し、その瞳に宿したのは想像以上の激しい感情を剥き出しにさせ、その視線に心臓を射抜かれるような感覚を覚え、ぞくりと肌が栗立ち歓喜で肩が震えた。
乱暴にシャワー室まで連れて行かれ、不満を露わにさせる心情と共に言葉を吐かれ、衣服を着用したまま上から頭から水を浴びせられる。昂った浅ましい欲を隠すことなくタイルに手を付きながら這うように男の下腹部へと擦り寄り、売り言葉に買い言葉の如く感極まった熱を抑えられず息をくぐもらせながら男へ強請る。
「そんなに他の奴の匂いが気になるのなら、俺に最初からマーキングしとけば良いだろう」
「なぁ…、はっ…かけろよ…なぁ、くれよ……はやく」
唇を器用に使ってズボンのチャックを開け、歯で下着をずらして男の陰茎を露出させ、見上げて男へ見せつけながら我慢ならずに涎が垂れる桃色の舌を見せつけ、亀頭へを小さく舐めとる。
「ーーああ、、あったかい……」
つんと鼻につく独特の匂いを漂わせる液体を頭から掛けられ、この男に今自分は汚されているのだと強く感じ、堪らずうっとりと独白が唇から漏れる。体に他人の排出物を掛けられ昂りを抑えらないどうしようも無い情けない姿を解放させて、 惨めに、貶めて、壊してほしい。
ーー嗚呼、もっと虐めてほしい
顔に滴り落ちる雫を指で拭い、味わうように舐めとりながら欲を孕んだ瞳で男に向けながら文句を言い放つ。その裏側に仕置きをされる期待を滲ませて。
「不味っ」
32-短編 那住錆 @a_nox_b
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