私刑執行 8人じゃ多すぎる

ねぎま

白い部屋

 『私』が目を覚ますと、そこは白一色の無機質な円錐形の屋内空間だった。


 窓や、ドアのたぐいは見当たらない。照明設備や排気口などのもなさそうだ。


 明かり取りの天窓等も見受けられないのに、どうやってこの部屋を明るく照らしているのか不思議だ。 


 部屋の中央部には大人の腰くらいある白い円柱が立っている。


 天井から吊るされているのは、スピーカー兼カメラだろうか?


「おお――っ、やっと最後の一人がお目覚めのようだぜ」


 そう誰かが言った。


「これで、ここにいる八人全員の目が覚めたというわけか」


 『私』は、部屋をぐるっと見渡した。


 目覚めた瞬間に誰かが言ってたな。

 全部で八人だと。

 

 ということは、理由は分からないが『私』を除いて七人の人間がこの空間にいることになる。 


 頬がひいやりとして冷たく感じる。

 床はタイルが敷き詰められているようだ。

 身体を起こして床に胡座をかく。


 『私』は、何故か見ず知らずの人間に出くわすと、その人物に相応しいアダ名をつける習慣がお定まりになている。

 

 まず目についた、壁にもたれかかってる陰気で今にも死にそうな爺さんから、時計回りに直感とイメージだけであだ名を付けていく。


 まず『私』が爺さんに付けたアダ名は『死神』

 これは死神博士みたいに不気味だからそのまんま。


 次は『ピアス』

 鼻ピアスをしていた穴に小指を突っ込んっで暇そうにしてるから。


 続いては『売れ残り』

 この部屋の囚人唯一の女だが、いかにも幸薄そうで男に縁がなさそうな風体から。


 四人目は『ひょっとこ』

 これは説明不要だろう。見た目がひょっとこのお面そっくりだからだ。


 『うなぎ』

 これはなんとなく。


 『ピエロ』

 こいつは、鼻の頭が赤いからすんなりと決まった。


 最後に『アメンボ』

 手足が長くてひょろひょろしてる外見から。

 

 ほどなく『私』を含め、ここに集められた八人の男女は歳も性別もバラバラ。唯一共通してるは、裁判で死刑を含めた長期刑の判決を受けた囚人・受刑者であるらしいことが分かった。

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