第4話 ナースの人

 20代の前半。

 腹が減れば、とにかく白飯ばかり食べまくっていた。

 多い時なんかは、大盛カップ焼きそばをおかずに白飯3杯も余裕だった。

 なのに、太らず体重は57キロ前後をキープするから恐ろしい。


 母がいないときは、男三兄弟なので、各々が冷蔵庫のあまりものを出して食べる。

 といっても料理は基本しない。

 生卵があれば、それを白ご飯にかけて醤油たして、卵かけごはんのできあがり!

 それを何杯も食べる。


 ある夏の出来事。

 数週間も冷蔵庫に放置してあった生卵を僕が使ったため、高熱と下痢を繰り返し、急遽、かかりつけの大学病院に入院することになった。

 持病の方か? と医師に疑いをかけれられたが、のちに生卵による食中毒と判明した。


 計2週間ほどの入院だったが、かなりキツかった。


 食事を出されるが、高熱のために口に入れることもできず、ただ点滴で栄養を摂取するのみ。

 腕に注射針を刺しすぎて、皮膚が硬化し、針が刺さらなくなるほど、両腕をブスブスと刺されまくった。

 

 僕が若い男の子ということもあってか、年上の看護婦さんによく説教された。


「あっ! 童貞くん! また食べてないの? だから、点滴はずれないのよ!」

「いやぁ、きついっす……」

 そういうナースの一人は、パイ子さんだ。

 確か人妻で、とても優しい女性だ。

 しかし、若い僕からすると一つだけ、彼女に苦手なところがあった。


「仕方ないわねぇ。じゃあ点滴かえましょっか♪」

 そう言うと、なぜか点滴の袋を僕側から替えようとする。

 逆側から変えれば、なんのこともないのに。

 彼女は毎回、僕の頭上から替えたがる。 


 パイ子さんは言っちゃ悪いが、かなりの巨乳だ。

 制服のトップがぱっつんぱっつんになるほど。

 揺れはしないが、デカい。

 目のやり場に毎回、困る。


「うんしょ……」

 そう言って、僕の頬に二つのデカいメロンをぶに~! と押しつける。

「ふごごご…」

 あまりのデカさに、僕は息ができない。


 たぶん、天然な人なのだと思うが、毎回だ。

 体温を測るときも、必ずといって、胸をおしつけてくる。


「これでよしっと♪ さ、童貞くん。早く治して退院するのよ!」

「は、はぁ……」

「そのためにはご飯をしっかり食べなきゃ!」


 まさか……あの人! 僕に惚れているのかもしれない!?

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