第3話 バイトの子

 一時期、リサイクルショップでバイトをしていた時だ。

 仕事の内容としては、社員や店長が買い取った商品。主に服や家電が多い。

 それらの汚れなど落として、値札を貼り、棚に設置する。


 働きだして、数ヶ月経った頃。

 

 いつものように、ジーパンに値札を貼りつけていると、店長が僕を呼びつける。

「童貞くん! ちょっといいかな?」

「あ、はい」


 毎日ミスしてたので怒られるのだろうかと、不安を覚えたが、それはいい意味で期待を裏切る。

 店長の後ろには、一人の若い女の子が立っていた。


「今日から働くことになった。チラ子ちゃんだよ」

 長い黒髪を肩におろして、ニッコリと僕に微笑む。

「あ、チラ子です。よろしくお願いいたします」

「こちらこそ、僕は童貞です」


 初めて出来た後輩だった。

 チラ子ちゃんは仕事に真面目で元気がいい。


 シャイな僕と違って、お客さんとも笑顔で大きな声で応対。

 先輩の僕よりもメキメキと仕事をこなしていく。

 社員からは「チラ子ちゃん、いいよね」と早くも賞賛の声があがりだす。

 マイペースな僕は怒られてばかりだから、先輩面するのも時間の問題か……。

 そう落ち込んでいると、チラ子ちゃんが僕に声をかけてくる。


 ニコニコ笑って、質問してきた。

「あのぉ、童貞さんってカノジョさんいるんですか?」

「え? いるよ」

「へぇ~ 意外ですね♪」

 なんだ、この子。僕を童貞だと思っていたのか?

 失礼だなぁ。


 そして、チラ子ちゃんは話題を変える。

「あの、これってどうやって商品化するんですか?」

 彼女が指差したのは、店長が買い占めた大量のゲームソフトだ。

 ゲームに疎い店長なので、みんながクソゲーだというのに、ボカボカ買い取りしてしまい、在庫で店内が埋まりそうだった。

 他の社員がそれを嘆き、「ワゴンセールで10円で売っちまおう」と言いだしたのだ。

 だが、忙しくてなかなか商品化できていなかった。


「ああ、それね。隣りのカゴに置いてるパッケージに入れて値段貼ればいいだけだよ」

 僕は床に散らばっている赤いカゴを指差す。

 チラ子ちゃんはそれを聞いて、笑顔で答える。

「さすが童貞さん! 私よりなんでも知っているんですね♪」

「そ、そうかなぁ……」



 僕は立ったまま、作業台で家電をラッピングしていた。

 チラ子ちゃんは隣りで、床に散らばっているゲームソフトを集めて商品化しだした。

 彼女は仕事中も明るく元気な子で、鼻歌交じりに作業を始める。

「らんらん、る~る~」

 

 ふと下で作業している彼女に目をやると……。

「はっ!?」

 僕の目に入ったのは、ピンクのレースパンティー。

 チラ子ちゃんは腰をかがめているため、ジーパンからはみ出ていたのだ。


 当時、ローライズが流行っていて、ミニスカよりは防御力が高いのだが、座ると必然とパンティーがひょっこりする事案が多発していた。

 しかも、トップスがへそ出しに近くて、丈の短いキャミソールやチビTを着るのがおしゃれだった。チラ度は急上昇。

 

 さすがにガン見するのは申し訳ないと、目をそらした。

 その日はそれで終わったのだが……。


 大量のゲームソフトを商品化するには時間がかかる。

 チラ子ちゃんは毎日、毎日。僕の隣りに座って作業を続ける。

 もちろん、彼女のファッションはいつも通りだ。


 ある日は紫。またある日は淡いグリーン。

 何かあったのかしらんが、ある日は真っ赤なスケスケのパンティー。

 チラ子ちゃんは「童貞さん、おはようございま~す!」と言うたびに、僕にケツを向ける。


 こんなに毎日見せつけてくるなんて……。

 まさか! この子、僕に惚れているのかもしれない!


 

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