救われない英雄転生者
枝豆@敦騎
第1話
ある所に極悪と称される令嬢がいた。
その名をセーラ。
公爵家の長女に産まれ家族から溺愛された彼女。その見目は麗しく、頭脳も非常に優秀であった為、両親だけでなく国王夫妻からも気に入られ甘やかされた。
いずれ王位を継ぐ王太子と婚約させられたくらいだ。
この国の最高権力者に気に入られたのをいいことに、セーラの我儘は度を越すようになっていった。
ある時は誕生日プレゼントに国の最南端にある島をまるまる欲しいとねだったり。
またある時は他国との貿易に首を突っ込み、我が物顔で国家の予算で買い物をしたり。
国中の領地にある農場や牧場、産業で発展した街が欲しいと言ってそこに住む国民だけでなく家畜、畑を自分のものとなった島に無理矢理移住させたり。
流石にやりすぎだ、異常だと王太子が諌めても聞く耳を持たない。
本人に注意することを諦めた王太子や家臣が国王夫妻に話をしても彼らは「必要なことだ」と言うばかりで止めようともしない。
国を私物化し、国民のための予算を食い潰すことの何処が必要なことなのか。
何度訴えてもセーラ本人も、彼女の両親も、国王夫妻も聞く耳を持たなかった。
(このままではこの国は滅びてしまう!)
セーラの婚約者であり王太子であるガラインは頭を抱えていた。
信頼のおける家臣達に相談し、共に悩んだ結果自分の成人式を待って現国王を国を私物化した罪で断罪し元凶のセーラ共々国外追放することに決めた。
相手は今まで育ててくれた両親と、付き合いのあった婚約者だ。
悪いのは国を潰そうとしている彼らなのだ。
そう言い聞かせながら断罪の計画を勧めた。
そのうちガラインは家臣の娘であったマリアナと恋人同士になった。
計画遂行前に体の関係を持ってしまったが、国王夫妻やセーラはまだ気が付いていないようだ。
ガラインはいずれ両親とセーラを排除した暁にはマリアナを妃に迎えると約束した。
そしてとうとう断罪の日がやって来る。
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