033 王の間へ
オレはファルコンに乗り、城のステンドグラス。王の間にそのまま突っ込んでいく。
―バリンッ!
ガラスを突き破り、王の間に着地する。
ファルコンは時間切れか、消えてしまった。
辺りを確認する。オレも数回しか入ったことが無い場所。王と円卓の騎士だけがここにいることを許される場所だった。
「……!」
オレは人の気配を感じ振り返ると、玉座に座る見覚えのある。父親の姿がそこにはあった。
「……父さん」
アルトゥル王は目線を下から上へ、ゆっくりとオレを見る。
「……メド、ラウトか」
「……なに、何してるんだよ!!今、国が大変な事になってるんだぞ!」
「……アンブローズが対処しておる」
「…アンブローズが…って…」
しかし、王の後ろから見える景色は魔獣が暴れまわり、煙が立ち込めてとても対処している様には見えなかった。
オレは、歯を食いしばる。怒りで拳を握り締める。
「そうやって…!そうやって、パルが死んだ時も椅子に座っていたのかよ!!」
「ゴホゴホ…お前にはわからんこともあるのだ」
「……病に犯されているって…本当だったのか」
「それも、これも、お前のせいだというではないか、メドラウト」
「…な、なにを言ってるんだ」
また呪いの子の話か。オレが一体何をした。オレは何も!何もしていない!!ただ、ただ妹のパルと穏やかに暮らしたかっただけだなんだ!
父さんは立ち上がり、椅子に刺さっている聖剣エクスカリバーを取り出した。
そして、それをオレに向けた。
「ゴホッ…お前を、殺せば呪いは無くなると思っていたが、今や国は魔獣が暴れワシの身体も病に犯されておる…全て、全てお前がこの世に存在しているからだ……ここで、その呪いを断ち切る!」
「……くそっ!!」
オレが幻影からクラレントを取り出して父さんに突っ込む。
―ガシンッ!!
剣と剣が擦り火花が散る。
グッと地面を踏みしめて弾き飛ばされない様にするが、さすが、エクスカリバー。この世で一番強いと言われる武器。
完全な状態ではない父さんのただの振りでなぎ倒されそうになる。
「…パルを殺した…ヤツは誰なんだ…っ!!」
「…知らぬ……誰が殺したとしても同じことよ…」
エクスカリバーの力強さに押されて吹っ飛ばされる。距離をとり、幻影からデュランダルを取り出す。
「嘘だッ!!知っていることを話せ!!奥義・剛腕千手観音!」
デュランダルの魔法を使い、無数の刀身が父さんを襲う。
―ズザザザザザザッ!!!
しかし、エクスカリバーの魔法障壁に守られて防がれてしまう。
「くっ!これじゃ無理か!」
オレはすかさず距離を取り、幻影からフェイルノートを取り出し、矢を放つ。
「『
無数の矢が光となり、ばらけながら父さんを襲う。
―ズドドドドドド!!!
砂煙が立ち込める。煙が晴れるがエクスカリバーを持つ父さん自身に傷はついていない。
何ていう防御力だ。
「…お前ではワシには勝てん…」
「そうやって、オレを今まで認めて来なかったんだろ…だから魔法以外の武器を訓練させてきた!そうだろ!」
父さんはエクスカリバーを持ち、そのままオレを見ていた。
「…お前は、ワシの家に住み、ワシの飯を食い、ワシの寝床で寝て育った。お前はワシの所有物なのだ…劣性遺伝子を持つ子を生かしておいたのはあやつの子だからだ…武器の扱いも、あやつの要望を聞き入れたに過ぎない。そうでなければすぐに殺している」
「…っ母さんのことか…!母さんが、オレに……」
あの厳しい訓練の日々は母さんの願い…だった…?
「お前の才能を憐れんで、少しでも可能性のあるモノを伸ばしたかったんだろう。まぁ、それも、ここで死ぬんだ…無意味だがな……まぁ、まだパルの方が未来はあったかもしれんが、惜しい事をした…それもお前と言う呪いの子を好いていたのだ。殺されても仕方ないことだがな…」
「物みてぇに……パルを…自分の子を、物みてぇに言うんじゃねぇよ!!」
オレはダッシュして突進する。幻影からダーインスレイヴとサザンクロスを取り出す。
父さんの懐まで入る。エクスカリバーを振り上げて攻撃してくるのを、サザンクロスで受け止める。
金属音が鳴り、火花が舞う。とてつもない衝撃波で部屋が真っ二つにひびが入る。
オレはサザンクロスの影からダーインスレイヴの魔法で鎖を出現させて父さんの身体を縛る。
「こんなもの!!ふんっ!!」
エクスカリバーを一振りすると鎖がいとも簡単に消し飛ぶ。
しかし、オレはすかざす幻影からロンギヌスを出した。
「一瞬動きを止めれれば!!」
そのロンギヌスの攻撃もエクスカリバーで防がれそうになる。
が、その時。
「ぐっ…ゴホっ!!」
「っ!…今だ!!」
ロンギヌスの魔法、『
しかし、それをエクスカリバーの魔法障壁で防がれていた。
「くそ!この距離でも…!いや、このまま吹っ飛ばす!!!」
オレは全体重かけて父さんとエクスカリバー事吹っ飛ばした。
―ズバァアアアン!
壁に勢いよく衝突し、めり込む。煙が立ち込める。
「ハァ…ハァ…」
やったか…?
―!?
ガシンッと右から、父さんでは無い別の攻撃をロンギヌスで防ぐ。
なんだ!?
「…ほう、今のを防いだか…」
「…お、お前は…!?」
勢いよく突っ込んで来たのはオレの異母兄弟、円卓の騎士第3席のガウェインだった。
「ガウェイン!!」
ロンギヌスを振り回しガウェインの攻撃を払いのける。
距離を取って、地面に着地するガウェインの手には、あの日オレを追放に追い込んだ双剣ガラティンがあった。
「王の間に貴様がいるとは、なんという愚弄…許されない行為だと分からないか」
「どいつもこいつも…国のことはお構いなしかよ」
「…今国で暴れている魔獣の事か?それなら、円卓の騎士や兵士が対処している。貴様には関係のないことだ」
「…ああ、そうかよ……」
バラバラと父さんがめり込んでいた場所の瓦礫が落ちて、煙が晴れる。
父さんとエクスカリバーは無傷だった。
「王!!ご無事で…!!」
「ああ、問題ない…ゴホっ…心配をかけるなガウェイン」
2人は武器をオレに向ける。
「メドラウトよ…何故死んでくれぬ?何故呪いをばら撒くのだ…何故、抗う?」
父さんがオレに言う。
オレは2人にロンギヌスを向ける。
「何故?……オレは…この国に生まれた王子だけど、才能が無くて、城に居場所も無くて……母さんだけが、唯一の味方で…でも、母さんが死んでからはパルと2人でただ暮らせれば、オレは……オレはそれで良かったんだ!!…なのに、それをあんたらは奪った!…だから、オレは!!!」
そういうと、オレは2人に向かい走り出した。
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