012 ~シャングたちの黄金の道④~

俺たちは街に戻った後、傷を癒して防具や装備を整えた後、もう一度洞窟のダンジョンに挑もうとしていた。


「な、なあシャング、本当に大丈夫なのか?」


アンデスが俺に心配そうに聞いてくる。

洞窟のダンジョンで俺たちはただのゴブリンに負けた。そのことが気掛かりになっているんだろう。


「……大丈夫だ、俺たちは……王直轄ちょっかつのS級冒険者なんだぞ…なんでただの洞窟のダンジョンに怯えなければいけないんだ!!」


「そ、それはそうだけど……ねぇ?ティメル?」


「う、うん………」


ロッソとティメルも自身が無さそうだ。2人とも俺と目を合わせない。


「くそ!わかった、じゃあ、防具やアイテムを先に取りに行くぞ!!」


「…アイテムを取りにいく?」


「ああ、俺たちの武器や防具がなぜ無くなったのかは分からないが、あれらは全てダンジョンで手に入れた物だ。もう一度探しに行けばいいだけの事」


「そ、そうか!!ダンジョンには協力な武器や装備が宝箱に収められている!!」


アンデスが喜びながら言う。


「その通り、今まではウィルに全部それをさせていたが、やむおえない。俺たち自身で集めるぞ。とりあえず手始めに上級ダンジョンの古代の遺跡に行こう」


「だ、大丈夫なの?今の私たちがそんなところに行くの…」


ロッソはまだ心配そうに言う。


「ちっ!…あの当時の俺たちと、今の装備は変わらない。ウィルが取ってこれたんだ、今の俺たちに出来ないことはない、グズグズしてないで行くぞ!!」


俺はそういって歩き出した。

古代の遺跡にはアイテムや装備が豊富にある。そこで集めたアイテムや武器防具はかなり役にやった。


それさえあれば、あんな低ランクモンスターに負けるわけない。




そう、負けるわけないと、思っていた。







古代の遺跡についた俺たちは扉の前に立ち尽くしていた。


「……おい、なんで、この遺跡の扉あかねーんだよ!!!!」


俺はアンデスやロッソたちに怒鳴り散らす。


「そ、そんなことを俺たちに聞かれてもわからないぞ……」


「む、昔は開いたわよね…?」


「そのはずだけど……シャング様……どうするの」


くそ!!なんでだ!昔は開いたはずなのに、なぜ入れない!!!

何が違う。あの時と、何が……!!


「こんなところで道草食ってる場合じゃないっていうのによ!!!」


俺は地面に落ちている石ころを遺跡の上の方に蹴飛ばす。


「くそが!!!はやく武器や防具がいるんだ!!!」


ドン!と遺跡の壁を叩く。


すると、かすかな振動がしてくる。

その振動は大きくなり、地響き程大きくなった。


―ドドドドドドドドド


「な、なんだ!!?」


「きゃあああ!?」


「はっ!シャング!!あ、あれ!!」


アンデスがさっき俺が石を蹴り飛ばした方向を指さす。


「あ、あああ…あああ…」


ティメルが腰を抜かす。

そこには、体長数十メートルほどの高ランクモンスターのゴーレムが体を持ち上げてこちらを覗いていた。


「や、やばい…」


―ゴゴゴゴゴゴゴ


そのゴーレムは足を出して、俺たちのすぐそばを踏みつけた。

地面がめり込み、亀裂が入る。

こんなのをまともに食らったら死ぬ!


ゴーレムは俺たちの帰り道を塞ぎこちらを見ていた。

その目は生気はなく。ただ冷たく睨みつけている様だった。


「く、くそおおお!!!!お前ら!!戦闘態勢にはいれ!!!」


「や、やるしかないのか!!」


「なんなのよ!!」


「うう…シャング様ぁあ」


ゴーレムは俺たちの準備など待たずに俺たち目掛けて殴りつけてきた。


―バァアン!!


―バゴッン!!


「ぐああああああああああああああああ!!」


俺はその衝撃はで吹き飛ばされる。


「きゃあああああああ!」


ロッソやティメルも吹き飛ばされて悲鳴を上げる。

アンデスが一人でゴーレムのパンチを受け止めて奮闘していた。


「ぐぐぐぐ…くそおおお………!!!」


「あ、アンデス……」


俺は先ほどのゴーレムの攻撃で遺跡に空いた穴を見つけていた。

この穴から中に入れば、宝箱を見つけられる!!


アンデスがゴーレムの腕を受け止めている隙に俺は立ち上がって、穴に飛び込む。


「ま、まって……シャング…おおおおおおおおお!!!」


アンデスがゴーレムの腕を受け止めながら俺を呼んでいたが、気にせずに中に入る。


「あ、ま、待ってよぉ!!シャング!」


「シャング様ぁ!!」


ロッソとティメルが俺の後に続いて穴に入る。

俺はとにかく走って宝箱を探した。


そして、見つけた。


「や、やっと見つけた!!!」


「え!ほんと!!?」


「や、やりましたね!シャング様!」


ロッソとティメルも喜んでいる。


「よし、これで…開けるぞ!!」


俺は宝箱を開けようとするが。




開かない。




何故か、開かない。



「な、なんであかねぇええんだよおおおおお!!!」


俺は宝箱を叩きまくるが。びくともしない。


「ど、どうするのよぉ!!シャング!!」


「うるせ!!!!黙ってろ!!!!!殺すぞ!!!」


「ひっ!」


ロッソに俺は罵声を浴びせる。

それ程焦っていた。


「くそ!!開け!!!開け!!開け!!!開け!!!開けよぉおお!!!!」


しかし、宝箱は開かない。


なんで開かないんだ。なんであの時アイテム回収出来たんだ…!!!


なんで…



なんで…



はっ!!!?



「ま、待てよ……」


ウィルはあの時、何食わぬ顔を俺たちにアイテムを持ってきていた。

アイツはこのダンジョンで宝箱を開けてきたという事なのか……


「いや!そんな!!そんなことは!!!俺のチカラのはずだ!!俺の!!!!ここまで来たのは!!!!」


地面を何回も殴りつける。


あんなパシリが特別なわけがない!!!そんなことあり得ない!!!!


「ね、ねぇ、シャング……」


ロッソが俺の肩を叩く。


「なんだ!!!」


俺はロッソとティメルに振り向く。

そこには、岩でできた小さい人型のモンスターが立っていた。


「な、なんで…!!」


「ティメル様!!…ぐえっぶうううううう」


ティメルがモンスター攻撃で壁に叩きつけられて気を失った。


「ロッソ………なにしてる…早く反撃しろ……」


「い、いや…いや……」


「何してる!!!死にてぇのか!!!!!!クソが!!!!」


「いゃあああああああああああああああああああああ」


ロッソが悲鳴を上げながらそのモンスターに向かっていくが、片腕で払われて天井に打ち付けられてドサッと地面に叩きつけられた。

そして、動かなくなった。


「く、くるな!!…くるな!!!!」


ドスドスとゆっくりと俺に近づいてきた。


「来るなあああ…!!ああああ、あああああ…や、やめてくれ…!!!お願いだ!!な、なんでもするからぁああああああああ」


しかし、岩でてきた人型のモンスターに感情はない。ゴーレムと同じだ。


「や、やめてくれぇ!!うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


そのモンスターに顔面を殴られて俺は気を失った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る