第6話 小春の恋
白ちゃんが大好き。
この想いはきっと変わらない。
いつか白ちゃんにとって、本当に大切だと思える人ができて、彼を諦めるしかなくなる日がきたとしても、その日までわたしは白ちゃんのそばにいたい。
きっと彼は、言葉を濁したりなんてせず、しっかりわたしに向き合ってわたしを納得させる言葉をくれるはずだから。
だからこそ、それまではそばにいることを許して欲しい。
白ちゃんが好き。大好き。
春の光があたりを薄紅色に染めたあの日、散りゆく桜の花びらを見つめ、ただ呆然と涙を流していた白ちゃんを目にしてから、吸い込まれるように彼から目が離せなくなった。
(泣いているのに、美しい……)
その空間だけが、まるで別の世界のように思えた。わたしの中で、音が止まる。
その時から、彼に惹かれていたのだと思う。
あの日以来、わたしは彼のことしか考えられなくなっていた。
あの時、わたしは恋に落ちた。
そんな表現が、きっとしっくりくる。
白ちゃん、なにがあったの?
ずっとずっと聞きたかった。
でも、わたしにはそれを聞く権利がない。
心を開いてもらえないうちは、たとえ大好きな相手でも深く立ち入ることはできない。それはわかりきっていること。
それにきっと、白ちゃんはわたしには悲しいことは言えないはずだ。出会ってから今まで彼の前でそんな空気を作ることがわたしにはできなかったから。
それでも、それでもきっといつか、彼の心の支えになれるような人になりたい。
白ちゃんはわたしを選ばない。
そのことは理解している。
白ちゃんがわたしを好きになってくれない理由は、自分を持っていないところなのだろうということは、本当はわかっている。
だけど、わたしはわたしなのだから、今の自分以外にどうすることもできないし、考えて止まっている暇なんてない。
今の後悔を
『ま、負けないわよ!』
そう意気込んで、今日もまた明日に向かって新しい一歩を踏み出す。
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