2024年 3年

涼しげな瞳の奥の水たまり 泳いでいって君と出会う


愛してる そう呟いて前を向く 弾丸は君を貫かない


かっこいい背中を追い越した自転車で 君とならどこへも行ける


あの頃のスカーフを巻いた 時間は巻き戻らないが 永遠があって


不可思議な世界を覗き見ることをしないでもいい 日常がある


本を積む いつか糧になると信じて 割れた窓から差し込む光


キャベツを割る 世界が死んだ蘇生した 手づかみの思い


苦しみを死んだ人は忘れゆく 長いトンネルのその先は



あそこまで行こう 岬の向こうまで 世界は反転し、夢を転がした


指の縁で切り取られた頬 君が振り返って笑う


あの世の匂いを少し感じる 夜道を歩く 白光が飛ぶ


いつまでも超えられない壁に拳当て 眠れ世界と茶毛の猫


髪色を変えた 君とお揃いにしたくて ビー玉が転がる果てまで


証を見せよう 僕が信用に値するという 懐からお手玉を取り出した


絵画から見える世界を抱きとめる 今日は紅茶を飲むこととする


美しき光を宿したその瞳 世界をぱちりと溶かして瞬く



いつもありがとう 笑ってくれて 丸いしゃぼん玉が飛ぶ


きれいなアクセサリーをつけておでかけ 靴音高く


かなしばりの夢っていつもモノクロで 私を圧してくる


きゅーてぃくるくるくる回っていつもどおり ぱんぱんってたたく


汚らしい棒を振り回して男の子 午後の道を走っていく


月桃を回す 光に照らされて 僕らきっと大人になる


明くる日の夢見がちな空想を閉じ込め永遠の図書館に送る


美しき周りの歌の響鳴を 僕らは一生覚えてるだろう

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