ゲームの途中で異世界転生〜頼れる仲間(NPC)とまったりスローライフを目指します!〜
@tatuya0852
第一章
第一章1話 プロローグ
科学が発達してVRG、バーチャル・リアリティゲームが色々開発され、DSが搭載されたゲームも色々開発された。
DS、通称ダイブ・システムとはVRC、バーチャル・リアリティ・コントローラーを頭に装着し、脳を一時的にスリープモードにして、VRCから脳に送られる電気信号によって、手足を動かさずにVRCから見える仮想世界のキャラを動かせる仕組みらしい。
何故スリープモードになるのか、何故電気信号で仮想世界のキャラだけを動かせるのかは俺にはわからない。
科学者でも何でもないただのサラリーマンだからその仕組みがわからないのも当然だ。
ダイブシステムが搭載されたゲームはRPGやFPS等、色々開発されたが中でも俺が一番ハマったのはシミュレーションゲーム、通称SLGだ。
SLGは所謂戦略ゲームだ。敵の領土を奪ったり自分の手足となるNPC、ノンプレイヤーキャラクターを育てたり。もちろんこちらの領土も奪われたりするしNPCが死ぬことだってある。
如何に敵の侵略を阻止し自軍を強化し領土を大きくしていくかそういう駆け引き等が面白いので毎回ハマってしまう。まぁ超大国にして優越感に浸りたいとか強いNPCとかメイドをぞろぞろ侍らせて王の感覚を味わいたいという思いもあるけど…。
そんなSLGの中でもっともハマったゲームが〈聖戦タクティクスウォー〉というVRMMOSLG(バーチャル・リアリティ・マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・シミュレーションゲーム)だ。
このゲームは聖戦、つまり勇者と魔王が戦う事を念頭に置いたゲームだ。
このゲームの面白いところは、ゲームを始める際に勇者側か魔王側かを自分で選択できることだ。
勇者側と魔王側ではやはり勇者側のほうを選ぶプレイヤーは多いのだが圧倒的に勇者側が多いと言う事では無い。
勇者側にもメリットはあるしデメリットもある。それは魔王側でも同じだ。
まず勇者側と魔王側はゲーム開始時にリーダーを決める。最初の一体は運営からの支給なのでなかなか高いスペックのNPCが貰える。
そしてそのキャラから1日に8回、つまり3時間毎に忠誠ポイントが貰える。
ただ毎日貰えるからとずっと放置していてもいいって訳でもない。
忠誠ポイントには上限(拡張はできる)はあるし、ずっと放置していたら侵略されてせっかく育てた
階級が上の方ほど忠誠ポイントが貰える仕組みで、
勇者側なら側近150>将軍100>軍団長50>小隊長10>兵士1ポイント貰える。
魔王側なら側近150>守護王100>上級魔物50>中級魔物10>初級魔物1ポイントとなる。
魔王側は貰ったポイントを拠点宝珠という宝玉に手を触れることで消費し配下ユニットを生産することができる。
勇者側なら職業を選んで配下ユニットを生産することができる。もちろん全ての職業が同じポイントではない。戦士が10ポイント魔法使いが20ポイントみたいに職業で消費するポイントが変わる。
魔王側では職業が無い代わりにゴブリンやオークなど色んな種族が選べる。
しかし人間と魔物では素でのスペックが違いすぎるのでゴブリンは10ポイントだがコボルト(素早さが早く素のシーフより遥かに強い)は30ポイント、オークは40ポイントと勇者側よりコストが高くなる。
勇者側は多く生産できるメリットがあるが個体のスペックは魔物より劣る。
魔王側は逆に生産するのに必要なポイントは高いが、その分スペックは人間より高いというメリットがある。
ちなみに最初のリーダーは側近に位置されるので貰えるポイントは150ポイントとなる。
そしてどんどん部下を増やしポイントをため自軍を強化していく。
自軍が大きくなると国になり城下町もでき民も増えるようになる。ちなみに民も兵士と同じ1忠誠ポイントが貰える。
そして拠点宝珠にはまだまだ色んな便利な機能があり、その1つがキャラクリエイトという機能。
これは自軍の仲間を一人選択し自分の好きなように作り変える事ができる。もちろん下級魔物や中級魔物にも使えるがその魔物が死んでしまったら意味がないので数が限られてる側近と守護王にしか使わなかった。
このキャラクリエイトだが、かなり細かな設定ができ髪型や服装は勿論、目や身長、性格や口調まで細かに設定できるので俺はかなり拘った。
まだ色々面白いところがあり、もう1つ上げるとするならJCS、ジョブチェンジシステムというのがある。
このゲームにもレベルという概念がある。レベルの上げ方は3つ。1つ目が戦争で敵を倒すとレベルがあがる。だが逆に殺られるというデメリットもある。もちろん生き返らせることが出来るのだがそれにも忠誠ポイントが必要になる。
2つ目に訓練というコマンドがある。これは戦争で敵を倒すよりもレベルを上げにくいが安全に確実にレベルを上げることができる。
そして最後に野良モンスターの戦闘で上がる。こちらも逆に殺られるというデメリットはあるが訓練よりも効率はいい。
そしてどんな職業でも4次職まである。それは魔物も同じで魔物は進化になる。
戦士で例えるなら1次職レベル20でカンストで2次職になることができる。しかしニ次職になるにも忠誠ポイントが必要になる。
しかもレベルが1に戻る。ステータスは1次職レベル20よりも高いのが幸いである。2次職業は40でカンスト、3次職は60、4次職は80となり80になればレベル上限解放にまた忠誠ポイントを取られる。そしてレベル100に至る。
はっきり言ってレベル100のNPCをもつプレイヤーはほんの僅かしかいない。
だがやりこみが好きな人からしたらやりがいがあるのだろう。
そしてこのゲームのなにより面白い要素が
自分のステータスには全ての
例えば
序盤は部下に任せきりになるが後半は部下よりも強くなるシステムになっている。
ちなみに国になり民も住むようになれば民の1人1人のステータス1割分も加算される。
こういった面白い要素があるのでどっぷりハマった訳だ。もちろん課金システムもあり、かなり金を突っ込んでしまった。
こんなにも作り込まれてるのでゲームとしてはかなり評判が高く、SLGの中では頭一つ飛び抜けて面白いとの評価であった。
実際、このゲーム〈聖戦タクティクスウォー〉はリリースされて10年目になるが未だに色褪せていない。
もちろん予約してリリース初日から1日も欠かさずインしてる。
この〈聖戦タクティクスウォー〉はスマホやアイフォンに同期することができ、仕事中にも侵略された通知が届くようにすることもできる。
なので仕事中に侵略された場合でも少しトイレに行きボタン一つで防衛陣形を引けるマクロを設定しているので安心だ。
そんなこんなで10年ハマり課金総額も5百万は軽く注ぎ込んだと思う。幾ら使ったか計算してなかったので覚えてないが、下手をしたら1千万ぐらいは使ったかもしれない。そこまで課金すれば必然と強くなる訳で、日本では敵無し、世界ではトッププレイヤーと肩を並べる超大国になっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ただいまー」
彼の名は
彼の声が家の中に響くが誰からも返事はない。
誰からも返事はないが、家に帰るとついつい言ってしまうものだ。
「今日も疲れたなー……まぁ明日は休みだしいいか」
彼、新道龍也は一人暮らしでボロいアパートの202号室に住んでいて、左に201号室、右に203号室と挟まれている。
毎月5万はゲームに課金しているから、これ以上家賃が高い家には住みたくない。今の家で不満はない。いや1つ不満があるな。
201号室の住人は音楽をやっているのかは知らないが、夜中に楽器の練習をしてるのか煩くて迷惑だ。
「はぁー……疲れて帰ってきたのに横の住人うるさいな。はやく聖戦タクティクスウォーにインしよ」
いつもうるさいと〈聖戦タクティクスウォー〉にログインして音量をかなり高めに設定し、隣の住人の音が聞こえないようにする。
「ゲーム起動っと……ログイン」
このゲームはログインを言わないと仮想世界に行けない仕組みになっている。毎回ログインして仮想世界へ行くまでの時間がワクワクする。
ログインする場所は必ず拠点宝珠の側なので、拠点宝珠の位置を玉座の近くに配置している。
「「「「「おかえりなさいませご主人様」」」」」
「ただいまお前たち」
新道龍也のゲームのプレイヤー名はルーク・シルバ・トワイライト。
ルークはいつもインをする前に玉座の前の謁見の広間にメイドを5人ずつ向かい合わせにして跪かせている。
「うーん。VRゲームの中だとしても「おかえりなさい」と言われたら嬉しいものだ」
家では誰も言ってくれないからなぁー。まぁ彼女いないからしかたないけど。
そう自分に言い聞かせて悲しい気持ちを押し込む。
「自室に戻るメイドA、メイドBついて参れ。他のメイドはいつもの様に持ち場に戻れ」
「「「「「かしこまりました」」」」」
別にやる必要のないロールプレイをたまにはしてみる。メイド達は少し無機質なのが残念だよ。まぁ触ったり出来ないし匂いも無臭だしそんなことができたら18禁だ。
自室へ行く道中大きな欠伸をした。王たる者、配下の近くで欠伸は威厳がないと言われかねないがゲームだからと気にしない。というか今日は疲れた。
部屋に入りメイド達に着替えの手伝いをさせ終わったらメイドを部屋から退出させベットで横になる。
「はぁー……今日はインして寝よ」
本来はインして寝る事はほとんど無いのだが、今日は一段と疲れたのでログアウトする気にもなれなかった。
時刻は既に0時。
そしてこの後、不運な事故に巻き込まれることも知らずにすぐに深い眠りについた。
………………
…………
……
新道龍也、この仮想世界ではルークだが、新道龍也が寝て3時間ぐらい経ったときそれは起った。
――――ドォーーーン!
急に鳴り響いた雷みたいな轟音で飛び起きた。
「なんだなんだ!?こんな時間に敵の侵略か!?」
新道龍也はすぐさまウィンドウを開いた。目の前に画面が表示される。そしてスキル一覧のプレイヤー固定スキル、
この自軍地図は自軍が支配している領域内の敵味方をマップに表示することができる。
青なら味方、赤なら敵だ。
だが自軍地図に赤の光点はない。
「……いったい何だったんだ?」
特に侵略されてる通知も来ていない。バグか?と思っていた。
少し気がかりなので自室のバルコニーから外を覗いてみる。
バルコニーから外を覗くと、驚愕な事態が起きていた。
「な……なんだこれは…」
自軍の城及び城下町、その全てを覆うほどの魔法陣。何が起こってるのかわからない。
だが特に
その光景を暫く唖然とし、見ていると巨大魔法陣の光が強くなっていく。
「なんか…やばい!」
その掛け声とほぼ同時にウィンドウを開きログアウトボタンを押しログアウトを選択するが全く反応しない。
「はっ…?うそだろ!?」
何度も何度もウィンドウ画面のログアウトをタップするがそれでも駄目だった。
最後の手段とGM《ゲームマスター》コールをタップする。最後の希望だ!頼む!と心の中で思いながらも、無情にもこちらも反応なし。
「おいおい…うそだろ!」
巨大魔法陣に何の効果があるかわからないけど自分のあるかもわからない危険感知が大音量で鳴っている。
そして巨大魔法陣の光が更に強くなり、目を開けていられなくなった俺は目を瞑る。一際光が光った次の瞬間、浮遊感に襲われ俺は気絶した。
この日、〈聖戦タクティクスウォー〉から超大国、トワイライト王国が消えた。
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