noisy depot
白井 くらげ
第1話
俺は電車に揺られていた
元々農家で家には牛と羊と犬が居て兼業している畑は毎日手入れで忙しい
だが年に2度、冬と夏の休みだけある駅に出かける
1時間ほども乗り駅を4つも過ぎるとショッピングモールやファストフード店もある駅で
学校で友人と小遣いを貯めてゲーセン目的でもあるがこの駅にはそれだけでは無い
ある寺に行かなければいけない
荘縁起寺(そうえんきでら)という名前でただ年に2回参るだけだ
参拝した写真を家族と友人に見せるという謎の慣例があり、俺はそれに従うために来ていた
おかしな事かもしれないが俺はタダで街に出てうろちょろ出来るので楽しみにしている
「ふぁーねみぃ」
流れる田んぼだけの風景に眠気がして瞼が重くなる
〜〜〜次は……
んあ?ヤバい、寝てしまった
跳ね起きたせいでバクバクと煩い心臓に手を当て周りを見回すと何故か人がいない
こんなに少なかったか?と思いながらドアが開き見慣れた駅に駆け下りた
ふぅ…と息をつき乗り過ごさず済んだことに安堵した
見慣れたはずの駅はなぜかその風体に違和感を覚える
改装工事でもしたのだろうか
いつも並んでいた青い卵を曲げたような連結した椅子が無くなり
透明なガラスが並んでいた
また、トイレがある場所にはどうやったのか女性と男性がにこやかに笑みを浮かべて立ち尽くす
「都会の流行がこの駅まできてるのか」
よくわからないので呟きながら歩くと改札がない
誰もが電車から降りた後出口から出ていくだけだ
手の中にある切符を眺めてからポケットにしまい込んだ
とりあえず同じように歩いているといつもの繫華街がある
右手にはおやきのお店があり伝統的だとかで赤い暖簾に茅葺屋根だ
おばちゃんがおやきを焼いている
その店がそのまま残っていて安堵した
俺はその焼いている人に数百円を出し「すみません、おやきひとつ」
というとおばちゃんが不思議そうな顔をした
「お兄ちゃん、えらい古いお金もってはるね」
俺はその硬貨を眺めたいつ間にか変更したのだろうか
「買えませんか」俺は聞いてみるとおばちゃんが少し悩んでから
奥に歩いて行く
戻ると手にリストバンドのようなものを携帯し俺に差し出した
「はい、交換」
俺は全くわけがわからないままそれとおやきを一つ受け取り
青いリストバンドを手に付けた
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