第21話「夏だ!海だ!謎美女だ!」

「花成かなり・・・海って・・・いいな。って、まぶしっ!」




道とおるが晴れやかな顔で空を見上げ、太陽光線に顔をしかめていた。




こいつはアホだ。だが・・・




「・・・まぁ、楽しいのは認める。提案してくれてありがとな。」




花成はしぶしぶ道の提案がとてもいいものだったことを認めた。




目の前では複数のおっぱいがブルンブルンと揺れている・・・もとい、ニレイや三繰たちがビーチバレーをしていた。






今、花成たちは皆で海に来ていた。




バレーのみならず、海で泳いだり浮き輪で浮いている女子の水着姿を眺めながら花成と道は並んで悦えつに浸ひたっていた。








その時、花成の顔に水がびしゃっとかけられた。




「ぶほっ!・・・な、なにすんだよ!」




水をかけられ、塩味が口と鼻の中に広がった花成は後ろを慌てて振り返った。








「え?海ではこうするものだとナナミクに教わったのですが・・・」




そこにはきょとんとしたニレイが立っていた。


透き通った白い肌と、顔よりも大きなはちきれんばかりの胸が水着からはみ出しそうだ。








後ろではナナミクがいたずらにニヤニヤしていた。


ドールのように整いまくったその顔に反して、その色気のなさはどう見ても海水浴に来ている中学生・・・というより小学生にしか見えなかった。




「はっはーん!バカども!いつも私のことを子供扱いしてるから報いを受けるのよ・・・って、ブハーッ!」




ナナミクが喋っていたが、無表情のまま花成は水をぶっかけた。








「ゲホゲホっ・・・何すんのよ!」




「フン、報いを受けるのはお前のほうだぞ。」




「くっ・・・この・・・」


パシャとナナミクは花成に水をかけた。


「なっ、またお前やったな!」




と、そんな感じでバシャバシャとお互いに海水をかけまくるナナミクと花成をニレイはなおもきょとんと見ていたが、二人を見ていたライサが割って入った。




いつの間にかパーカーを脱ぎ、すらりとした上体と少し筋肉質な引き締まった白く透き通るような腹筋を見せていた。








ちなみにナナミクは合うサイズの水着が無く、どこで仕入れてきたのかスクール水着を着ていた。




「ふたりとも花成とイチャイチャしてズルい!」




謎のヤキモチを焼いたライサも水掛け合戦に加わり、道や状況を理解できないまま参加しようとしたニレイまで加わってカオスになっていた。




ライサはニレイ以上に白くすらっと細くて長い手足、ほどよく筋肉のついたお腹、健康的ながら浮き出たあばらにスポーティな水着が良く似合っていた。








「はぁ・・・はぁ・・・」




無意味に熾烈しれつになってしまった水掛け合戦から抜け出し、花成は砂浜に戻ろうとした。




見渡すと近くにいたはずの三繰がいない。








「おい、花成!三繰みくりちゃんなら蟹が見たいとかいって向こうに言ったぞ。」




なおもナナミクと水をかけあっていた(何故かナナミク&ニレイと道&ライサのチーム戦になっていた)道が花成の肩をつかんで声をかけた。








「おう、ありがとう。」




花成は少しドキドキしながら三繰が向かったという岩場に向かった。




正直、三繰は不思議ちゃん要素が多分たぶんに強い。




ふら~っとどこかへ行ってしまう天然なところも癒やされるので好きなところの一つだった。








しかし、岩場の陰に入ったときガシッと強い力でその場に押し倒された。




「イテッ」




押し倒されたのは岩場でも少し土が残っている柔らかい部分だったので痛みはさほど無かったが、急なことで驚いて声をだした。








「あ。その声やっぱりカナちゃん博士だ。」




バッと花成の上にのっかったのは、なんと全裸の美女だった。








ニレイと同じくらいのナイスバディだったが、似て非なる部分が多かった。




小麦色の肌にまるで海外の女優のようなハリのある大きな胸に引き締まって肉感のある下半身に、なによりシックスパックの浮き立った腹筋がいやらしくなく、健康的なのが印象的だった。


胸の大きさはニレイ以上の大きさで、花成が生きてきた中で間違いなく一番大きかった。






そして、何故か今、その美女が花成のことを既知の親しい友人のように見つめている。








さらに花成にはこの感覚は最近感じたことがあった。




そう、ニレイやナナミクと初めて出会った時のことだった。








「も、もしかして君はセ・・・アンドロイドなのか?」




花成がその美女を見ないように目を逸そらしながら言うと、ぽかんとした表情を見せた。








「あ、ヤバ、もしかして私のこと知らないんじゃん。


そりゃそうか。過去の時代だもんね。でも・・・」




そう言うと美女は花成の股間の方に手を伸ばした。








「ここは相変わらずすぐ反応しちゃうの?」




「ちょちょちょ!!!何してんの!?」




花成は素早く股間を抑え、美女の腕の間からカサカサと抜け出た。








「あはっ!その反応もカナちゃん博士だ~。冗談だってば!」




美女は生まれたままのあられもない姿で立ち上がった。








「き、君は未来の僕の知り合いなのか?」




「え?知り合いどころか、将来を約束した仲じゃない!アタシと。」








「えっ?」




花成は未来の自分がどういう生活をしているのか不安になった。

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