第4話 尿意が収まったぞ

 ただの板張りの床なので非常に寝にくかったが、疲れていたのか意外とすぐに眠りについた。


 それからどれだけ眠ったのだろう。

 目が覚めたときには陽が暮れかけていた。


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 経験値 13/100

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「おっ、ちゃんと増えてる」


 経験値の増加を確認したところで、俺はふと尿意を覚えた。


「共用のトイレしかないんだっけ。面倒だな」


 億劫に思いながらも部屋を出ようとしたときだった。


〈部屋から出ると、連続在宅時間が途切れますが、よろしいですか?〉


 え、マジかよ。

 もしかして共用のトイレは自室に含まれないのか?


 ……弱ったな。

 さすがにトイレに行かないわけにはいかないし……。


 こんなことならちゃんとトイレ付きの物件を借りるべきだったと、今さら後悔しても遅い。


「そう言えば、取得できるスキルの中に……」


 思い出したのは現在、取得可能なスキルのリストだ。

 意識してウィンドウに表示させる。


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 騒音耐性 10

 暇耐性 10

 空腹耐性 10

 清潔維持 10

 排泄耐性 10

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 数字はどうやら取得するのに必要なスキルポイントらしい。

 これらが少ないのは、恐らく「ひきこもり」にマッチしたものだからだろう。


 他にも取得可能なスキルはあるが、それらは非常に高いスキルポイントを要求されていた。


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 体技 100

 怪力 100

 回避 100

 俊敏 100

 危機察知 100

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 と言った具合に、要求量が桁違いだ。

 あっという間にスキルポイントが無くなってしまう。


「ま、どうせ引き籠りには必要ないスキルだけどな」


 俺が目を付けたのは排泄耐性だ。

 これを取得しておけば、トイレに行かないのは無理でも、行く回数を減らすことができるかもしれない。


〈排泄耐性を取得しました〉


「おっ、かなり尿意が収まったぞ」


 スキルの効果は思いのほか大きいのかもしれない。


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 排泄耐性LV2 20

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 どうやら20ポイントでレベルを上げることができるらしい。


「上げれるだけ上げておくか」


〈排泄耐性がLV2になりました〉

〈排泄耐性がLV3になりました〉

〈排泄耐性がLV4になりました〉


 LV2で20ポイント、LV3で30ポイント、LV4で40ポイントだったため、全部でちょうど100ポイントを使い切ったことになる。


「完全に尿意が収まったな」


 これでしばらくはトイレに行かなくて済むはずだ。


「さて、と……」


 俺は床に寝転がった。

 染みだらけの天井を見上げながら、思う。


「ゲームも漫画もない世界で引き籠るのって……めちゃくちゃ暇だな」








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小森飛喜 レベルアップ!

 職業:ひきこもり

 レベル:1 → 2

 HP:10+10 MP:10+10

 筋力:1+1 耐久:1+1 敏捷:1+1 魔力:1+1 精神:1+1

 ユニークスキル:部屋の主

 スキル:排泄耐性LV4

 SP:0+100

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 翌日、ついにレベルが上がった。


「予想した通りちょうど丸一日だったな。しかし全ステータスが+1か……。これ、今後もこのペースの上昇量だとしたら、レベル30になっても勇者のレベル1の強さにしかならないんじゃ……」


 うん、勇者がレベル1でも強すぎるってことにしておこう。

 それに引き籠りだし、強くなったところであまり意味がないしな。


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 経験値 0/200

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 次のレベルに上がるまでに必要な経験値が200に増えている。

 ということは入ってくる経験値量が変わらなければ、次は二日かかるということか。


「結局、一度もトイレに行かずに済んだな。何も食べてないっていうのもあるかもしれんが」


 今もほとんど尿意も便意もない。

 代わりに猛烈にお腹が空いていた。


「腹が減ったな……けど、調達するには外に出ないといけないし……昨日、あらかじめ買っておけばよかった……いや、待てよ。スキルポイントが入ったし、空腹耐性を取得すれば……」


 早速、試してみることにした。


〈空腹耐性を取得しました〉


 するとぐーぐー言っていたお腹の虫が鳴き止んだ。


「凄いな。これならまだしばらく持つかもしれん。まだポイントもあるし、ついでにLV2に上げておくか」


〈空腹耐性がLV2になりました〉


 そして排泄耐性のレベルも上げておくことに。


〈排泄耐性がLV5になりました〉


「残り20ポイントか……よし、暇耐性と清潔維持をそれぞれ取得しておこう」


〈暇耐性を取得しました〉

〈清潔維持を取得しました〉

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