第16話 あのビッチが誰か調べるのよ ー 南山寺類

「類さん、ちょっと」

 教室でお弁当を食べ終わった私は席までやって来たクラスメイトから声を掛けられた。

 手招きされるままに教室のベランダへ出る。

「ちょっとあれ見て下さい」

 クラスメイトが指差す方向を見ると男女二人が中庭のベンチに座って仲良くお昼を食べている。

 ん? あれは。

 男の方が拓真であることはすぐにわかった。女の方は見覚えがない。

「あの女は誰なの?」

「わかりません。見掛けない顔なんで新入生だと思います」

 新入生って月曜日に入って来たばかりだ。

 一週間も経たないうちに全教室から見える中庭のベンチで拓真と並んでランチを取るとは手が早い女だ。

 きっと何人もの男に尻尾を振ってるビッチに違いない。

「あの女のことを調べて。早めにね」

 あの女。早めに叩いておく必要がありそうね。


 その日は学校から早めに下校した。

 随分とボロい雑居ビルの四階にある事務所のドアを開ける。

「お嬢さん!」

 三人か。ちょうどいい人数かも。

「どうされたんですか?」

「ちょっと調べて欲しいことがあるの」

 私は拓真に纏わりついていたあのビッチのことを事務所にいた三人に話した。


「じゃあ、そのビッチの事を調べればいいんですね?」

「出来る?」

「簡単ですよ。交代で貼り付けばいいだけですから」

「じゃあ?お願いするわ」


 これであのビッチが誰か分かる。

 どう叩くかは素性が分かった後から考えても遅くない。

 あの女、どうしてくれようか。


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今回の第十六話は文書が短かったので午後に第十七話、夕方に第十八話を続けてアップします。

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