切なく感じる短編恋愛

リクルート

君は、私を置いて、大人になっていくんだね

大学時代、好きでもない人と体の関係になった

その人は私の好みの顔でもないし、気が合うわけでもない

ただ寂しさを埋め合う関係、セフレってやつだ


これまでちゃんと彼氏を作って、愛を交換し合うような関係しか経験がなかったから、最初は罪悪感を感じていた

だけど、そんな背徳感も、かえって気持ちよくなるほど、私は悪い女になってしまった


でも最近、彼に告白されてしまった

「好き」 この言葉は誰がきいてもうれしいと思うのかもしれないが、私には嫌な言葉だった

「私たち、ずっと一緒にいたいから、付きあえない」

そう言って私は彼を抱きしめた

彼は私が抱きついてから数秒、固まっていたけれど、抱き返してくれた

そのあと彼は「そうだよね」 と、震えた声で言っていた


そのあとも何度か体の関係があった


そんな彼との関係は、就職活動の忙しさなどで気づいたら全く合わなくなっていた


大学を卒業して4年経った今、ポストに彼の結婚式の招待状が届いていた

私はいろいろ考えて、「欠席」に〇をつけて、メッセージ欄にこう書いた


「君は、私を置いて、大人になっていくんだね」


そして私は、また好みでもない男とのラインに満足する

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る