赤いきつねか緑のたぬきか!? 日曜の昼に始まるハルマゲドン

さいとう みさき

第1話赤いきつね編


 「ふんふんふん♪ さて今日のお昼ご飯は~」


 彼女は買い置き戸棚から真っ赤なインスタント麺の容器を引き出す。

 日曜日の、のどかなお昼時。

 そして嬉しそうに言う。


 「やっぱ寒くなってきたから『赤いきつね』よねぇ~。じゅわっとした甘みを帯びたお揚げ、色彩を彩るかまぼこにもちもちつるつるのうどん。更に緑のたぬきには無い卵トッピングが最高エクセレントよね!」


 ぴくっ!


 そう言う彼女に反応するようにやはり買い置き棚から「緑のたぬき」を引っ張り出す男は彼女、みさきを見る。


 「ふん、関東人のくせして薄めのつゆの何処がいいんだよ?」


 するとみさきはむっとして「赤いきつね」をばっと向けて言う。


 「分からないの? 味の調和、お得感、寒くなってきた時期のこのうどんの幸せ感! やっぱり冬は『赤いきつね』よ!! あったまるし!!」


 「お揚げなどすぐに食べきってしまい無くなってしまうではないか? やはりサクサクからとろりまで楽しめる『緑のたぬき』だろ?」


 「何よ!」

 

 「何だよ!?」


 カッ!


 背景が真っ黒に変わり稲妻が走る。

 そしてみさきの背景にきつねが、その男性の背景にはたぬきが現れる。


 こうしてのどかな日曜の正午に赤と緑の戦いの火ぶたは切って落とされたのだった!

  

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