第31話 芽生えた気持ち5
「よし、じゃあ、先にご飯食べ行くぞ!」
「さっき言ってたパスタのお店行きますか」
「おう! そこにしようぜ」
お店に着いてメニューを開いてびっくりした。
「こんなに種類があるんですか」
パスタの種類はもちろん、サラダやドリンク、デザートの組み合わせも豊富だ。どれにしようか悩んでしまう。
「ワタシはもう決めたぞ、このカルボナーラのセットでドリンクはコーラ、デザートはミニショートケーキ」
「早いですね」
「一目見て、これだ! って思うやつにしたら間違いはないから」
「うーん……」
目でメニューを追ってると、桂さんは頬杖をつきながら、ニヤニヤ笑いながらこちらを見ている。
「なんです?」
「駿河ってさ、しいたけ以外のキノコもあんま得意じゃないだろ」
「……」
「いかにキノコの入ってないのを選ぼうとしている駿河が面白すぎてだな」
「なんでわかるんですか」
「キノコ入ってるメニューはすごい勢いでスルーするから」
桂さんが鋭いのか、僕がわかりやすいのか……。
「いつか食べれるようになったらいいな。選べるメニューが無限に広がるぞ」
「自分のことを棚に置いてますよね」
「だって、ワタシは和全般だからジャンルさえ避ければなんとかなるし、それに菓子だし。菓子ばっか食べちゃダメだからなぁ~。キノコは栄養が豊富だから食べれないのはもったいないんじゃねぇかな~?」
「良いように言いますね」
「良いように言えるんだよ」
まったく、ああ言えばこう言う。僕は心の中でそう思いながら、このやりとりを楽しんでいた。
注文したパスタが机に置かれると、いつも通り写真を撮り始める桂さん。僕もパスタと、目を輝かせている桂さんをフレームの中に入れて撮影する。勝手に撮ったこと知ったら怒られるだろうな。でも、良い表情だ。写真フォルダに思い出がまた一枚増えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。