2014年5月3日(土)
2014年5月3日(土)
母方の実家に帰省した。
「わあー……」
おくるみのなかの赤ちゃんを見て、うにゅほが目を丸くする。
「いつ生まれたんだっけ」
「先月の17日だよ」
「改めて、おめでとうございます」
「いえいえー、こちらこそ」
従姉と頭を下げ合った。
「さわっていい、ですか?」
「いいよー」
うにゅほが赤ちゃんの手のひらに触れる。
「ちいさいねえ……」
「爪、おもちゃみたいだな」
「そうだねえ……」
うっとりしている。
うにゅほは子供好きなのだ。
特に赤ちゃんは、可愛くて仕方がないらしい。
「あかちゃんうむとき、いたかったですか?」
「そりゃー痛いよー」
「──…………」
女同士の会話を始めてしまったふたりを置いて、和室を後にした。
リビングでテレビを眺めていると、夕食の時間になった。
「あれ、××は?」
「まだ赤ちゃん見てるみたいだよ」
母親が視線で和室を示す。
言い方は悪いが、よく飽きないものだ。
「××、ごは──」
障子を開けて、閉めた。
従姉が赤ちゃんにおっぱいをあげていたのである。
なるほど、赤ちゃんも夕食ということか。
午後八時ごろ母親の実家を辞し、父親の運転で帰路についた。
「……でね、あしのうらが、いちばんやわらかいんだよ」
「触っとけばよかったな」
「でも、さわったらだめなんだよ」
「どうして?」
「くすぐったいからだって」
うにゅほがくすくすと笑う。
帰りの車中、小声でずっと赤ちゃんの話をしていた。
よほど可愛かったんだなあ。
心中複雑であるが。
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