2012年5月25日(金)

2012年5月25日(金)


桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」が流行したことがあった。

あまりの入手困難さに、自家製レシピが広く知れ渡ったことも記憶に新しい。

母親もレシピに頼った口で、流行が過ぎ去った今でもたまに作る。

これが、かなり美味い。

冷奴に食べるラー油と醤油をたっぷりかけていただくと、思わず財布を取り出したくなるくらい美味い。

うにゅほは昨夜、初めて食べたのだが、目を皿のように丸くしていた。

そんな理由から数日でなくなってしまうラー油だが、ある問題を引き起こす材料がひとつ入っている。

ニンニクである。

御丁寧に、揚げたものとすりおろしたものの二通りが、たっぷりとっぷり入っている。

翌日どうなるかは推して知るべし。

シャツの首元を広げ、体臭を確認しては首をかしげていると、ふと趣味の悪いことを思いついた。

はて、うにゅほはどうかしらん。

あれだけラー油をぶっかけていたのだ。

ニンニクの引き起こす宿命から逃れるすべはないはずだ。

ちょいとそこ行くうにゅほの両肩を背後からわっしと掴み、鼻の先で髪の毛を掻き分ける。

……ふむ。

臭くは、ない。

でも、いつもより匂いが濃い。

同じ人間なのに、ここまで体臭が違うのは、常在菌の分布の問題だろうか。

それとも、男女のホルモンの差?

そんなことを考えながらくんかくんかと嗅いでいると、

「なにー」

と、うにゅほが迷惑そうな声を上げた。

ニンニクを摂取すると体臭がきつくなる、という話をすると、うにゅほが俺の胸に顔をうずめた。

「臭い?」

「……くさい!」

ちょっとショック。

離れようとすると、追いすがられた。

おいやめろ。

臭いならもう嗅ぐな!

くさいくさいと笑いながら、うにゅほが俺を追いかけて、外にまで出る羽目になった。

痴漢される女性ってこういう気分なんでしょうか。

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