2011年12月2日(金)

2011年12月2日(金)


今日は弟の誕生日ということで、祖母が犬に服を買い与えてくれることになった。

一文にまとめると意味がわからないが、弟の誕生日はあくまで偶然である。

ここ数日の冷え込みに、祖母が15歳の老犬を哀れんだ、というのが実情だ。

祖母から五千円札を受け取り、うにゅほを連れて近所のペット用品店へと赴いた。

時間帯のせいか、客は一人もおらず、閑散としていた。

店にとっては致命的なのだろうが、人見知りをするうにゅほを連れている身としては、むしろ都合がいい。

うにゅほは楽しそうに棚へと駆け寄ると、極彩色のボールを掴んだ。

「ぷう!」と間の抜けた音が、店中に響く。

これがジブリ映画なら、うにゅほのロングヘアは見事に逆立っていただろう。

中型犬用の服は、三千円もした。

着せたはいいが、あまり暖かそうにも見えないので、今年も玄関に入れることになったというオチまでついた。

夕飯は家族六人で焼肉屋へ行った。

食べ放題の壺漬けカルビが美味かったが、うにゅほは黙々と豚ホルモンを焼いては口へ運んでいた。

遠慮をしているのかと思ったが、幸せそうな顔をしていたので、単に好きなのだろう。

食後にソフトクリームを頼んだ。

俺はクッキー&バニラ、うにゅほはストロベリー&バニラである。

一口ずつ交換したが、やはりクッキー&バニラが一番美味い。

俺がそう言うと、うにゅほは自分のソフトクリームを無言で突き出した。

もう一度食べて、確かめてみろということらしい。

それを繰り返して、結局半分ずつ交換したような形になった。

互いに自分のソフトクリームが一番美味いと思っているのに、なんだか損をしたような、そうでないような。

帰宅し、テレビのある弟の部屋で、三人でルパン三世を見た。

うにゅほはテレビより、満腹で丸くなっている俺の腹に興味があるようだった。

ルパン三世は面白かった。

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