第二話 雹の親友捜索
雹側の第一話の十数年後になります。
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「はあ……」
がたごとと馬車に揺られながら、溜め息をつく。
「ヒョウ様?」
「なんでもないよ」
訝しげな側近の目線を手を振って否定し、僕は苦笑した。
この側近……鮮やかな緑色の髪をベリーショートにしているエルフは、僕があの氷の森で呆然としていたところを拾ってくれた恩人だ。
お礼にと、何度か助けたら何故か忠誠を誓われ、こうして側近……部下の地位に収まっている。
「彼女の捜索具合はどんな感じ?」
「はい。ヒョウ様の情報を元に、国の諜報部隊を動かしておりますが……手掛かりらしいものすら見つかっていないのが現状です」
「……そう」
やっぱり、中々見つからないか……。
「っていうか、帝国はずっと放置してるっていうのに、なんで僕はますます慕われてるの?」
馬車の外、国民が「氷の賢者万歳!」「皇帝陛下万歳!」などと叫んでいるのを聞きながら、呆れて呟きをもらす。
……親友を探すためだけに、僕は皇帝の地位に就いた。
腐敗していたこの国を一掃して、こんなところまで来たのは、有名になれば
ある程度基盤を整えたら、あとは運営できる人材を皇帝権限で任命して、放置していたはずなのだが。
運営に奮闘しているはずの宰相……側近が紹介してきたエルフではなく、なぜ僕が讃えられているのか。
「それは私と宰相が情報操作しているからですね」
しれっとした顔で
「いひゃいです」
「痛くしてるの。……まったく。ちゃんと命じたことを守った上で好きに動いているならいいけど……怠けているのだったら、分かってるだろうね?」
「はい、承知しております、主様」
恭しく頭を下げたエルフに、はあ……と溜め息をついた。
「主様は禁止」
「はい、ヒョウ様」
がたん、と馬車が跳ねて、止まった。
「じゃあ、後は頼むよ、ウィア」
「……はい」
雪景色の中、振り返って笑うと、ウィア……側近エルフは、声を震わせて、頭を下げた。
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裏設定コーナー
・スノウ帝国
雹が作った国。正確には、腐った帝国の上層部を一掃して自分が利用しやすいように作り替えた国。
名前は雹が付けた。
領土の中には氷の森(雹が保護されたところ)や、砂漠の中でたくましく繁栄しているオアシスの町などが含まれている。
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