私が愛を知るまで。

Liebe

(1)

 ある日。彼と、彼女と、一緒に遊ぶことになった。彼女が主催するゲーム会で、彼とペアで参加しないか、と声を掛けられた。事前にゲームのための打合せを行い、自分たちで設定を決めて臨む形式。私たちは、仲良しの家族という設定だった。


 彼と彼女と知り合って数年。それぞれ別のメンバーと一緒に、遊んだり、企画を進めたりと色々してきた。その中でも比較的、馴染み深い二人。私は友人として、二人のことがとても好きだった。心地よい素敵な人たちなのだ。


 ゲームの事前打合せが楽しい。彼と私の気になる部分は似ていて、ここはもっとこうしたい、こっちの設定はこんな感じでどうか?あれもこれも細かく設定を広げていった。打合せ時間はあっという間に過ぎた。それでも、まだ物足りない。もうちょっと設定を詰めたいよね。彼と私の意見は一致した。もう一回、時間を取って打合せをしよう。じゃあ次はこの日にしようか。じゃあ今日は解散にしよう。こうして、一回目の打合せが終わった。


 二回目の打合せを迎える前に、彼と、彼女と、出掛けることになった。海が綺麗な街へ、三人でドライブ。美味しいものを食べ、楽しくのびのびと充実した時間だった。三人で食べ歩き、あれこれと話をした。

 彼と出掛けたのは初めてだった。旅先では、彼が初めて見せる顔がたくさんあった。楽しい発見の連続。さり気なく気遣いができ、真摯で、裏表がない。そして、自分に素直に正直に、まっすぐ堂々と立っている彼が、私は眩しかった。


――― あぁ、なんて素敵な人なんだろう。


気づけば、私の頭は彼が見せた顔と言葉でいっぱいだった。こんな気持ちになったのは初めてで、居ても立ってもいられない。


(なんだろう、これは。)


家に帰っても、私の頭はなかなか落ち着いてくれなかった。

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