皇帝に愛されたひとりの男が、狂ってしまった

皇帝に愛されたひとりの男が、狂ってしまった。

きっかけは、だれもしらない。空の柩の前で佇む姿を、若い使用人が目にしたのが最後だという。巷では、人間を喰らう“天使”と同一視されていた。

「“天使”なんておとぎ話にも出てこない。野蛮な種じゃないか」

少年は淡い光を放つ羽根を翳し、天を仰いだ。


2023/2/11

Genetic Code

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