私は存在しない“星”よりも、あなたのほうが大事よ

夜天で煌く星に、憧れを抱かなかったわけではない。

誰よりも夜の深さを知る少女には、遠すぎる存在だった。白い指先は青い綺羅星のかわりに、親友のやわらかな髪を撫でた。

「私は存在しない“星”よりも、あなたのほうが大事よ」

「いつになく大胆だね」

「そうね。……シリウスには、とられたくないもの」


2022/12/22

花ねむるサナトリウム

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