もう、だれも、ばけものと呼ばれた人の子から、幸福をうばうことはない

名を与え、住処を与え、食を与え、愛を与えた。

もう、だれも、ばけものと呼ばれた人の子から、幸福をうばうことはない。ここには、王と“彼”しかいないのだから。

「君に祝福を」

一日が死んで、あたらしい朝が来る。王は、どんなときでも、美しかった。その指先が朱に染まった瞬間さえも、麗しかった。


2022/11/15

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