最後の夜だというのに、交わした言葉は少なかった

洋燈のやわらかな灯りが少年の輪郭をぼんやりと照らしている。

最後の夜だというのに、交わした言葉は少なかった。明日には、この鳥籠を羽ばたいていなくなる。

「……大丈夫だ」

「え、」

彼の指先はかすかに震えていた。だいじょうぶ。大丈夫だよ。いつも、僕が口にしていた言葉だ。

「貴方なら、きっと」


2022/10/8

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