僕の声が聞こえるか

じきに指先も動かせなくなる。

心臓に寄生した鉱玉は、僕の新たな核となるだろう。

侵食はじょじょに進んでいる。もう、きみの声も聞こえない。

「……久遠」

青い光が降ってきた。いつか見た月明かりの再現フィルムがまわっていた。

「僕の声が聞こえるか」

友のぬくもりが、鉱石と同化した指先をとらえた。


2022/8/13

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