あまやかな夜はまぼろしで、目覚めたときには誰もいない
あまやかな夜はまぼろしで、目覚めたときには誰もいない。効かない毒の花蜜と、空の薬瓶。白紙の日記とともに火にくべた。本当に灰になったのかは、誰にもわからない。始業を告げる鐘の音は遠く。少年は、ひとり、中庭で軽くステップを踏む。いつかの夜に見た幻影とともに、踊る日を、夢見ながら。
2022/3/28
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