キャンディ·ブラッディ

わた氏

Candy Bloody

僕は殺した。


少女を殺した。


シャクシャク。

めった刺しにした。


胸という名の鉱山から無限に湧き出るルビー。


透き通った飴が散り、降り注ぐ。

月光に反射した紅い水滴一つ一つが、僕を無限に映し出す。


少女のクリーム色の髪にへばりつく、錆びついたイチゴの味。


優しい髪色には不釣り合いな、痛ましいほどの鮮やかさ。


瞳は虚ろ。天を仰ぐだけで僕を見ようとしなかった。


銀色の刃が怪しく煌めく。


シャクシャク。

突き刺す音だけが響く。


深紅の飛沫が地に咲いた。


するりと花弁が頬を擦った。


殺しはイチゴの味がする。



————



「貴方ね。私を殺したのは」


意味が分からなかった。


どうしてだ。


どうしてあの時殺した少女が生きているんだ。


クリーム色の髪を風が梳く。


「私を殺してくれた貴方に、お願いがあるの」


大蛇のような鋭い視線。

いつか見たルビーのような深紅の瞳。


喉元は鉄の味がした。


「もう一度、私を殺してくれない?」

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