第1話 クソ男、転生する。
「ちっ、てめぇももう使い道ねえな。」
俺は才藤雄牙(さいとうゆうが)。年は22だ。今は今の彼女をめちゃくちゃにしているところだ。
「もうやめて…」
俺は彼女の体を触り、抵抗すれば殴る。それが俺の日課。俺は見た目がいいからすぐに女どもが集まる。
「お前らみてぇな女は俺の道具であるだけありがたいと思え。」
俺は外に出る。外ではこんなことを表には出せない。あんな時間でも俺の数少ない楽しみだ。だから俺は非情になる。いや元からこうだったか。これが日常となっている俺には分らない。
「雄牙殿~」
そこに太った男が現れた。こいつは梶原亮(かじはら りょう)。俺とは中学の時からの腐れ縁だ。
「なにか用か、クソオタ。」
「限定物のアイテムを手に入れるために重い腰をあげて外に出てみたら、雄牙殿がいたからついてきたお。」
「…はぁ、お前は何かやることはないのか…。」
「女の子にもてる雄牙氏はいいですなぁ。リア充は即燃えてほしい位でござる。」
「んなこと聞いてんじゃない。まぁ、お前とは付き合いが長いが俺がリア充とやらに見えるか?」
「ん~、雄牙氏は根っからのサイコパスでござるからな、それは難しいと思われる。」
「まぁいい。俺は用を控えてんだ。じゃあな。」
俺は家に帰ってきた。すぐに違和感に気づいた。少しばかり荒い息遣いが聞こえる。女どもは地下室に閉じ込めているから玄関で聞こえることはない。
「ん~、そこかな。」
俺はキッチンのちょっとした隙間を覗き込んだ。
「ひっ!」
そこには一人の女がいた。
「いけないな。こんなところにいちゃあ。」
その瞬間、後ろから現れた女の腕に首を絞められた。
「く…そっ!」
その腕を全力ではねのけた俺が振り返ると、その女は両手で包丁を振り下ろした。
「がっ!」
左肩から胸の辺りを切られてしまった俺はすぐに包丁を持った女を抑え込もうとしたが、後ろにいた隠れていた女に腕を押さえられてしまった。
そして、包丁を持った女が俺の腹部に刺した。
「グ、が…」
腹部から痛みを通り越した虚無感を感じる。幹部が熱く、冷たくなっていくのを感じる。だが、俺は何を思ったのかは自分でも分からないまま意識を失ってしまった。
「…」
気がつくと目の前には女性がいた。
「貴方は死にました。とは言っても、貴方の罪は簡単には赦されるものではありません。よって…」
「俺に指図をするんじゃない。」
俺はそう言い切った。
「いいでしょう。貴方は反省しなければなりません。貴方には罰を与えましょう。全てにおいて無知な貴方は本当に…バカな人ですね。」
言い返せることがなかった。それは本当なことだからだ。
俺は気づいたころから、感情と呼ばれるものが理解できなかった。特に他人に対してはだ。
ある時、俺は同僚に誘われるままに風俗へ行ったことがある。そこではいかがわしいことをされようとしていた。俺はそれが許せなかった。気づいたら風俗嬢を殴っていた。誰かに拘束されるのが嫌いとかそんな気持ではなかった。ただ、気づいたら殴っていた。会社では大人しかった俺はすぐに解雇されてしまったが、安い女はすぐに俺に貢いでくれた。ある程度絞ったら監禁する。そんな日々が当たり前になってしまった。それだけが俺にとって気分の高揚を感じられる酒やたばこのような物だ。
「どういう罰を受けろと。」
「貴方には転生してもらいます。」
「そうか。俺は転生するのか。」
亮の勧めでそういう作品を見たことがあるが最強能力がついていたり、弱くても主人公の機転や才能、知識で強い地位を手に入れることができる。いわば、どう転んでも俺にメリットがある。前者は状況的に無理だろうが、後者には自信がある。
「ふん、ならさっさとしろよ。無能!」
「ふぇ!?無能って…うぅ」
女神は泣き出した。その瞬間、これは無双ルートではなく、ハーレムルートだと確信した。異性に興味がない俺はそれを確信した途端黙り込んだ。
「も~!さっさと行きなさい!」
そう言われた途端辺りが光りだした。
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