2.5にゃ レイン。飯を食う


 狭く、ゴミが散乱している汚い路地裏を、右へ左へとくねくね曲がりそこに辿り着いた。 


 なにかの店?

 のようだ。

 看板に魚の絵が書かれているので、ここが魚関係の店だという事は分かった。

 

 店内に入ると

 無数のテーブルと椅子が並べられていた。

 これはそう……

 飲食店だ。

 だが、人がいない。


「おや?兄ちゃんもしかして観光の人かい?」

「はい……」

 

 私が、キョロキョロしていたら若い女の人が話しかけてきた。


「そうかい……そうかい……。

 ここまで来るのに疲れただろ?

 今、食べ物持ってくるからちょっとまってんだよ!」

「ありがとうございます………

 でも、いいんでしょうか?

 私、お金持ってませんけど……」


 そう。

 今日はコネをつくりに来たのだ。

 金など持ってきてない。


「いいんだよ!金なんて!

 腹、減ってんだろ?」

「まぁ……はい」 

「なら、食べなきゃな!」 


 そうなのか?

 私は、こんな所に店がある事自体が衝撃すぎて、 あまり考えることができない。


「わかりました……」


 私が頷くと、女は奥の方に行った。 

 少ししたら包丁の音とともに、

 美味しそうな海鮮の香りがこちらまで届いてきた。


 これはなんだ?

 音的に、焼き物では無い。

 燻製?

 いや、時間がかかるからそんな筈ない。

 何の料理か分からない。

 

 恐らく、私の知らない人族の料理なのだろう。


 20分程で料理が二品私の前に運ばれてきた。

 一品目は、赤い身や、白い身が白い粒の上に被さっている大盛りの丼。

 2品目は、茶碗から湯気が出ており、先程の海鮮の香りの正体の茶色い汁ものだ。

 2品とも私が見たことも、食べたことの無いものだ。

 

 正直不味そうだが、せっかくのご厚意で作ってもらった料理だ。

 料理を置いて、いなくなった女が物陰から私のことを見ていることはわかってる。

 食べない他ない。

 覚悟を決め、赤い身と白い粒を口に運んだ。


 すると……

 プリッとした、とろけるような魚の身と

 ホカホカな、ほのかな甘みの白い粒が口の中を蹂躙していった。

 

「………」


 一口また一口と、それを掻き込む。


「ごちそうさまでした」


 気づいたらそれは無くなっていた。

 あんな山盛りを食べたのは初めてだ。

 

 もしこれをミーニャ様が見たら


『にゃんだこれ!?』


 と言ってよだれを垂らす姿が目に浮かぶ。

 漁師は見つけられなかったが満足だ。

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