第18話 放蕩娘の帰還
焚き火から立ち上る火の粉。時折、粉雪が舞う。キース、ジェフリー、そしてレイラの3人は、折り畳み式の安楽椅子に座って歓談している。
「うははははーッ。ちょっと、やめてよ。キース」
レイラは呵呵大笑し、バシバシと己の膝を叩く。ジェフリーは憮然として火酒を呷る。キースは大袈裟な身振り手振りを添えて嬉々としてジェフリーの勲しを讃える。
「本当だよ。ジェフリーさんは大英雄だ。単独で踏破した迷宮の数は二百を越える。誰であろうと破ることは不可能さ。偉業だよ」
キースは敬愛する父親を自慢する幼子の様に喜色満面だが、レイラは疑雲猜霧と言わんばかりの表情を浮かべている。単に皆目見当がつかないのか、キースの語る偉業に興味がないのか、あるいは裏付けが取れない事を鵜呑みにできない性格なのかも知れない。
レイラは、真偽を確かめる様にジェフリーの方を見やるが、ジェフリーが顔を逸らして誤魔化した。その様子を上目遣いで伺いながら、好機到来とばかりにレイラがジェフリーの手元のつまみを攫おうとする。
「レイラはダメだ」
ジェフリーの皿の上に盛られた干し肉を摘もうと、目にも止まらぬ速さで手を出したが、ジェフリーにあっさりと阻まれる。完全阻止ではあったが、レイラの手は優しく掴まれていた。意図を感知させず、互いに油断を誘うように振る舞っていたようだ。
レイラは、一瞬、驚嘆の表情を浮かべたが、直ぐに相貌を笑顔で
レイラは自分の速さには自信があった。だが阻まれた。しかもジェフリーが動いたことすら察知できなかった。後の先であった。彼が既に達人の領域に達していることを理解した。少しだけ負けたような気分になる。
苦味を含んだ笑顔で驚きを隠しながら、ジェフリーに抗議の眼差しを向ける。そして抜け目なく彼の状態を見透かすが、魔力の流れを全く感知できない。キースが語る勇者としての恩寵の存在にも触れられない。同じ善神を奉じる者同士ではありえないことだ。
レイラの心は大きく揺らぎ混乱した。神々の恩寵すらない状態で達人の域に達しているというのは常識的にはあり得ない。衝撃は疑懼の念を呼ぶ。死霊術をつかえば逸脱者に成れる。まさかとは思うが可能性は捨てきれない。叫び出したいくらいに動揺しているのだが、彼女とて超一流と呼ばれる存在であるが故に心の乱れを他人に知られない様に振る舞うことなど造作もなかった。
「お預けとかあり得ないんだけど」
レイラが抗議する。ジェフリーを睨みつけ、そして同意を求めるようにキースに視線を向けた。
「三〇年間絶食だったんだから、今夜は水薬で我慢してよ」
キースは、見るものを虜にするような笑顔を浮かべて、レイラを宥める。無駄に高度で洗練された鍔迫り合いが目の前で繰り広げられていたが、キースにはイイ歳のおじさんと年の離れた恋人が単にいちゃついているようにしか見えなかった。勿論、全ての動きを補足していることは語る必要などない。気が付かない振りをすることには慣れている。達人同士の高度な戯れをこれ以上見せつけられても堪らないので、胸中半ば呆れながら割って入ることにした。
「これなら空腹感も消えるよ」
キースが腰に付けた雑嚢から新しい体力回復の水薬を取り出して、軽い気持ちでレイラに手渡した。購入するとなるとかなり高額になる逸品だが、アデレイドに手順を教わり、自ら手作りした物であるので、彼にとっては惜しいものではない。予備も沢山持ってきている。
キースは美しく嫋やかな所作でお手製の水薬をレイラに手渡す。表情も柔らかで見るものを安心させる。とても冒険者とは思えない。教会の治療院でも滅多に出会えないような癒しの雰囲気を湛えた修道女に見える。死霊術士には見えない。彼女が食事を摂らないのは、レイラに付き合っているだけなのだろうと自分を納得させることができた。
実は、レイラは子供の頃の寝物語を思い出し、キースとジェフリーのことを美しき死霊術士と屈強な戦士の死霊の昔話に準えて、二人を外法の逸脱者と怪しんでいた。あの
ひょっとするとジェフリーは既に死んでいて、美しい死霊術士が自分達を弄んでいるのではないかと訝しんでいた。ジェフリーが生き残ったことがそもそも奇跡であった。
実際は、キースは冒険組合専属の救助の専門職であり、ジェフリーも南方域を生業の場とする運び屋に過ぎない。二人とも生者であることは、剣聖としての力により確認済みであったが、納得することは簡単ではなかった。
「……」
レイラは無言で水薬を受け取る。それは複数の効能効果を発揮する珍品であることを一瞬で理解できた。同時に彼女は善き神々から下賜された恩寵が彼女の中で機能していることも確認できた。
彼女は、周囲の人々たちから人外と恐れられ、剣姫の二つ名を恣いままに生きてきたのだ。大抵のことでは驚くことなどなかった。しかし、迷宮から引き上げられて天幕で目覚めて以来、レイラはジェフリーとキースに驚かされてばかりいる。
彼女は、実の父親である公爵から聞いたことがあった。この世界では、神々に見捨てられた者が稀に生まれることを。ジェフリーとキースの二人が、何故祀ろわぬ者となったのか、知りたく無いわけでないが、冒険者という者は他人事を詮索しないものだ。それが流儀であり、冒険者としての生き様の根源だ。彼女は、噂好きの伯爵令嬢ではなく、冒険者なのだ。
「水薬だけじゃ嫌だよ。野菜のスープくらい構わないでしょ?」
レイラは、膨れっ面で拗ねたような仕草を見せるが、水薬はしっかりと受け取り仕舞い込んでいる。キースは、可愛い妹のワガママを聞いているような感じになり、嬉しさが込み上げてきた。修道院で生活していた頃、年長組になったキースは、年下の女の子たちに慕われていたこともあり、よく面倒を見ていた。その頃が思い出され、可愛い妹分たちとの生活の記憶が蘇る。
「裏漉しするからちょっとだけ待っててね」
キースが立ちあがろうとするが、ジェフリーに止められる。
「俺がやろう」
「えッ?ジェフって料理すんの?」
若い頃のジェフリーは料理などできなかった。茫として気の利かない男であり、彼の一党における役割は壁に過ぎなかったが、それでも一党の中にあって、十分な価値を発揮していた。
ジェフリーが火にかけていた鍋を持ち上げて、いそいそと食台の方に移動する。レイラが生きていることの喜びが、潮が満ちるように緩慢なれど確実に彼の欠けていた心を充溢してゆく。
降り積もった年月が払い除けられ、あるべき時の流れを自らの手元に引き戻したことで、ジェフリーは、若かりし時を取り戻したかのように重厚であった動きが機敏なものに変わった。
「ジェフリーさんは料理も凄腕なんだ。冒険者組合の料理長も白旗を掲げているよ」
先ほどからキースがジェフリーのことを褒めちぎっている。レイラの知らないジェフリーをキースが知っていることに嫉妬に近い感情を覚えた。少しだけ意地の悪い返しをする。
「キースの冒険者組合の食堂の料理が単にまずいだけじゃないの?」
「ひどい言われようだ」とジェフリー。
間髪入れずにジェフリーが答えたことで、キースとの間にしっかりとした絆が出来上がっていることが知れた。もはや自分の知っていたジェフリーではないのだ。記憶の中のジェフリーに比べて、2回りほど大きな体躯となり、より重厚な筋肉の鎧を纏っている。落ち着いた雰囲気と絶対的な強さを兼ね備えた頼り甲斐のある年上の男性が眼前にいる。
「もう信じられないことばかりだよ。壁に吸い込まれたと思ったら美人さんに起こされて、ジェフはおっさんになってるわ、英雄とか呼ばれていて、しかも料理の達人とか、いっぱいいっぱいだよ」
「つい此間まで、弱気なジェフって——」レイラは遠くに視線をやりながら言いかける。
「レイラ、それは無しだ」
ジェフリーは発言を阻止する。キースの前では、体裁を繕いたかったのか、それとも過去の弱気なジェフリーや英雄ジェフリーでも無く、今のままの自分で在りたいという気持ちが、そうさせたのかも知れない。
レイラは、むっとして顰めっ面をジェフリーに投げかけた後、くるりと体面をキースに向けると尋ねる。ひょっとすると恋敵になりかねない相手の情報をしっかりと把握すべきだろうと考えたようだ。悔しいが、キースは自分よりスタイルが良くて、しかも美人だ。
「ところでキースはどうしてキースなの?」
——この人、何言ってるんだ?
キースは困惑して応えに窮する。
「え?どうして、って言われても。修道院の人にキースって名付けてもらったから、キースなんだけど……」
孤児院で名付けられたことを伝えた。
「いや、女の子なのにキースって、何か変じゃない?」
レイラが真顔で返す。
——あぁ。なるほどね。
キースは納得といった表情に変わる。
「キャスとか、ケイティとか、ケイリーとか、カトリーナとか、あとは——」
「僕、男です」
「は?」
レイラは予想だにしなかった答えに耳を疑った。
「男」とキースは申し訳なさそうに繰り返す。
「お前何言ってんだ?」
レイラは真顔でしかもおっさんのような口調で聞き返した。
「レイラ……キースは男だ」
ジェフリーは、レイラの反応に呆れたかのような表情を浮かべながら、改めてキースが男であることを伝えた。
「うそッ!」
ぐいと自分の顔を寄せてまじまじとキースの顔を見た。次に彼の豊かな双丘に視線を落とす。更に大きくて張りのある自分の胸を両手でぐいと寄せると疑問を口にした。
「詰め物?」
違う違うと頭をふる。キースの両方の耳が赤くなる。頬も赤みがさす。ジェフリーがレイラの肩をポンポンと優しく叩いて窘める。レイラは唖然とした顔をジェフリーに向けた。
「吃驚だよ。三〇年間も石の中で寝てると世の中変わるのなッ」
「「それは違う」」
キースとジェフリーに同時に寸言されて、レイラは現実に引き戻される。
「キースのこれは生まれつきだ。放っておくと体つきが女になる。組合長が調合する水薬で抑えていた。最近、ちょっとした揉め事に巻き込まれて、暫く薬が飲めなかった」
「生まれつきなら仕方ない——」
キースは頷くが、実際は、キースの体質による変化だけではない。始源の魔女の性癖と言えるのだが、彼女の権能によって、キースの身体的変化が劇的に促進されて、今や一部を除けば完全な女性形態になった。
「いや、納得できないッ!」
レイラが叫ぶ。キースは、レイラの声の大きさと勢いに負けて、仰反りそうになる。
「何でそんなにでかくなる?」
彼女はこの負けは認められないなどと口走っている。水薬に含まれている興奮作用のある成分が影響しているのかもしれない。
——勝負するものなの?
キースは、ジェフリーにレイラの心理状態が、壊れてないか確認の意味を込めて視線を送る。ジェフリーは、かぶりを振って応える。少々問題があることは、キースに伝わった。
「大体、ジェフはキースに詳しすぎる。何なの彼氏なの?そっち系だったわけ?なら納得だよ」
レイラは、立ち上がって、ジェフリーに詰め寄る。昔々のことだ。レイラは何度かジェフリーを誘惑したのだが、彼は終ぞ彼女の身体を求めなかった。過去の情事一歩手前の思い出について、彼女は自分勝手に納得してる様子だ。ジェフリーはその様子に苦笑いを浮かべた。身分違いということに対してレイラは少々無頓着すぎる。彼女は胤が公爵様で育ちが伯爵家の御令嬢であったが、ジェフリーは流民の孤児だった。
「いや、それはないかな……」とキース。
ジェフリーは優しい。だが一度も絡み付くような気配を感じることは無かった。他の冒険者支部の若者たちから生々しい欲望を向けられ、身体に纏わり付くような視線を感じて、何度と無く不快な経験を重ねていたので、その辺りの機微には敏感であった。過去を振り返ってみても、ジェフリーが自分に対して、その類の欲望は抱いていないと断言できた。
それにレイラを見て納得したのだ。キース自身はレイラの子供といっても違和感が無い程に似ているのだ。迂闊にも初恋の人の子供なら娘も同じだなどと余計なことを連想してしまった。
——ん、いや、あの……
一人でどぎまぎして顔を少し赤らめていると、カネヒラが親指を立てて、腹立たしい笑顔を向けているシーンが脳裏に浮かんだ。一瞬で冷静な自分を取り戻す。カネヒラは彼の精神の均衡を保つための調整役を担っているようだ。
——泥濘に足を取られているようでちょっとイヤ。
カネヒラに対して随分と失礼なことを考えていたが、興奮しているレイラの発言によって、カネヒラのことは意識の外に放り出した。
「大体、何で冒険者組合長が錬金術士みたいに、秘薬を作れちゃうわけ?」
レイラは止まらない。昔から饒舌ではあったが、今日は特に感情が昂っているようだ。そう思うジェフリーであった。
「まあ、アデレイドだからな」とジェフリー。
「!!」
アデレイドという名に衝撃を受けたのだろう。言葉に詰まり、静寂がレイラを包む。随分と長い間、レイラが動かなかったが、ようやく口を開いた。
「今、何て言った?」
——石化が解けたようだ。
「僕たちの冒険者組合長はアデレイドだよ」とキース。
「驚きすぎて言葉もないよ」と目を丸くしてレイラがキースの顔を覗き込むように応える。
——喋ってるけどね。
「二人とも無慈悲な魔女の配下なの?」
急に難しそうな表情を浮かべて呟く様に尋ねた。
「そうだけど、その呼び方は嫌かな……」
キースはちょっと不機嫌そうに言葉を返した。レイラは、再び、悪い悪いと、おっさんのような動作で詫びをいれる。
——なんだろう。この人、何かカネヒラみたい。
「ああ、もう全部納得だよ。好きにしてくれ!」
レイラは、そう言いながら安楽椅子の背もたれに身を預けて、寝そべるようにして空を見上げた。迷宮に長く留まっていた所為なのか、意識を取り戻した後、彼女は身体の中に蟠りを感じていたのだが、それが星空に溶けて消えてゆく不思議な感覚に陥った。悪い気分ではなかった。暫くそのままでいたが、不意に言葉が溢れた。
「生きてるんだね……」
それから、レイラは朝方まで喋り続けた。三〇年分だからと自分勝手に話題をコロコロ変えながら、勿論、冒険者ゆえに冒険の話が中心であった。そのうち疲れたから寝床に入ると言って席を立った。自分が骨に変わっていたら死霊術で起こしてくれ、とキースに軽口を叩くと、一人で馬車の中の寝床についた。
キースとジェフリーは互いに視線を交わす。レイラの勢いに呆れ果てたということを互いの表情で確認し、頷き合うと彼ら二人も少し眠ることにした。今回、不寝番は不要。キースの探知能力の革新的な進化により、自動的に敵性生物を察知できることは、確認済みであった。
キースは毛布に包まって睡魔が訪れるまで、満足感と充実感に浸っていた。近頃は遺体ばかり引き上げていたからだ。今回は生還者を迷宮から助け出すことが叶った。偶然なのか、必然なのか、奇跡なのか、しかもジェフリーの想い人を助けることができたのだ。こんなに気分が高揚するものかと、自身のことながら感心する。何も言うことはない。ジェフリーが取り乱したことは自分の胸中に封印しようと心に決めると、彼は静かに眠りに落ちた。
朝と昼の中間、日差しが強くなる頃合い、キースとジェフリーは寝床を片付けて、撤収の準備に取り掛かった。半刻ほどして、レイラが元気良く跳び起きてきた。死体に変わることは無かったようだ。朝から意気盛んだ。キースもジェフリーも少々閉口したのだが、それでも三人で仲良く朝食を作り、一緒に賑やかな食事を済ませた。
レイラを安楽椅子に座らせ、ハーブティーで満たされた大きめの木製のカップを渡して、ゆっくり休むようにキースが指示を出した。何か手伝わせろと言ってきたが、客人に手伝わせるようなことでもないので、キースとジェフリーは二人で撤収の作業を開始した。引き上げ作業用の各種機材も汚れを落としながら、破損箇所は無いことを確かめつつ、梱包し、馬車に積み込む作業を続けた。
「それにしてもよく似てる。アタシの妹たちよりもアタシ似だ」
キースの淹れたハーブティーの香りを堪能しながら、レイラはうんうんと頷き、キースが自分によく似ていることを改めて指摘する。ブルネットの髪の色も、瞳の色も、目の形と鼻筋。特に唇の形。
「キースは美人さんだねぇ」とレイラは嘆息した。
——それはご自身を美人だと自慢していることになるのでは?
キースの唇の艶を見咎めてレイラが尋ねる。
「キースって化粧するの?めんどくさくない?」
「
キースは、生き物として男だから襲われる心配など無いと思われがちだが、そうでもないらしく、数多の事例を知るアデレイドからキースは他の女性冒険者と同じ扱いにすべし、そう判断された。
「何それ、凄く有能。雑魚狩り不要とか、有り難過ぎる」
「レイラもお化粧したら?
普通のお化粧ではない。魔法陣を組み込むという離業が仕込まれている。
「んー。でもなあ、アタシ、西方城塞都市の冒険者組合所属だからなぁ。
枯れた迷宮と呼ばれる前、ここの迷宮は煉獄の門と呼ばれた巨大迷宮であり、度々
「迷宮で
「アタシにとっては一昨日のことさ」
「昔は慣習的に一〇年。今は七年で死亡扱い。“行方不明の期間設定”が規約で決められている」とキースが死亡認定により除名されていることを告げる。
「何てこった。アタシの預金は?」とレイラがジェフリーに尋ねる。
「妹さんたちが、遺産相続したはずだ」とジェフリー。
驚愕の表情のレイラ。大して仲が良かったわけでもない胤違いの妹たちに稼ぎを奪われたことに納得いくわけもない。暫く唸った後で、ジェフリーにぐいと迫る。
「組合の持分は冒険者じゃなければ相続できなかった筈。良し!ハゲマス脅そう。ハゲマスをッ!」
なお持分も組合の持分会で一五年単位で見直しできる規約がある。全会一致であれば7年で見直すことも可能だ。組合員の持分の見直しについては、恣意的に運用されがちな規約であり、レイラの持分は既に抹消ずみであろうことは容易に想像がつく。しかし、それは追い討ちにしかならない。キースは詳しい話を控え、二人の様子を黙って見守ることにした。
「代替わりしたぞ。あのバカ息子だ。今も大差なくクソ野郎だ」
「うぇ……。どうしよう」
本来、組合の持分は、冒険者の中でも保有できる者は限られている。レイラは、その出自ゆえに西方の城塞都市の冒険者組合の権利を保有していたが、失踪したことを好機として、日頃から対立していた
「どうしよう。ジェフ。アタシ素寒貧になっちまったよ……」
「レイラ一人養うくらいの甲斐性はある」
「!」
「何それ……ジェフのくせに……」
——これって求婚だよね。でもジェフリーさん、この
「レイラのこれからのことは、
「おお、キースは何て良い娘なんだ。オネエさんはぁ嬉しいよぉ」
キースは妬み半分で、ジェフリーとレイラの関係が目前で進展することを阻止した。求婚とかは二人きりでやってくれ、という思いがあった。
「……そうだな。何の心配もいらない」とジェフリー。
「た、頼もしいじゃない」とレイラ。
「さあさあ、冒険者組合に戻ろうか?」
キースは見つめ合う二人に声をかけると中断していた撤収の作業を再開した。
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