第20話 ~撃~
僕は野良だ
好きに争う
好きに噛む
カフェを出て
気が緩んだまま
僕はもう一度
川辺の探索を始めた
とても美味しかった牛乳
気分良く 暖かい道を歩く
少しだけ川に近づき
覗き込んで確認してたら
後ろから黒い影が
近づいてきた
そっと振り向くと
僕と同じ瞳と毛色
オスの黒猫が居た
<こんにちは>
<初めて見るね>
こんにちはー!
そうだよ!今日ここに来た!
<へえ・・・>
<それならここら辺>
<知らないだろ?>
そうだねー!
だから探索してる!
<案内してやろうか?>
いいのー!?
<着いておいで>
ありがとー!
親切に声をかけてくれた黒猫に
僕は着いて行った
獲物が集まる所
川に落っこちそうな所
休めそうな所
沢山案内してくれた
はしゃぎながら見て回る僕を
黒猫は後ろから眺めていた
助かるよー!
君はここら辺にいるの?
<ああ 住んでる>
そうなんだ!?
僕もしばらく居たいなぁ!
良い所だねー!
<そうだろ?>
<だからさ>
ん?
<許せないんだよ>
<お前みたいな奴が>
異様な雰囲気を感じて
後ろを振り向くと
黒猫がいきなり
鋭い爪を振り下ろしてきた
僕はなんとか避けたが
顔に爪が当たった
場所が悪かったのか
途端に血が流れた
<いきなり来た奴が>
<居座るな>
やりやがったな・・・
<ここは俺のものだ>
知らねぇよ
ずっと居座るつもりもない
好きにしてるだけだ
<少し親切にしたからって>
<馬鹿かお前>
うるさい・・・
それはてめぇだ
やるかこの野郎!
僕は 普段出さない牙を
黒猫に向かって剥いた
尚も攻撃してくる黒猫
僕は応戦した
お互いに傷つけ合い
しばらく争ってから
僕は黒猫から離れた
僕に関わるな!
どうだっていい!
<消えろ>
お前がな!
僕はもう無駄だと悟り
その場から離れた
痛い・・・
久しぶりの喧嘩で
ボロボロになった僕は
隠れるように蹲った
少しだけ痛みが引いてから
足を引きずるように歩き
気づくとカフェの近くに居た
力を振り絞って窓に飛び乗り
カリカリと引っ掻きながら
弱々しく鳴いた
ねぇ・・・ねぇ・・・
小さな音に気づいた大きな人が
少し驚いた顔で近づいてきた
「どうしたんだ・・・!?」
助けて・・・痛いよぉ・・・
うええええん
「なんだこれは」
「病院に行こう」
嫌だぁ・・・
すんすんと泣きながら
弱々しく否定するも
僕はダンボールに入れられ
病院に連れていかれた
僕は黒猫だ
日向に出れば
敵もいる
分からない所から
攻撃もされる
だから影に居たかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます