第12話 ~音~
僕は野良だ
好きに出ていく
好きに迷う
主様のおうちを出て
あてもなく歩いてた
面白いこともなくて
ただフラフラとね
つまんない
何しようかな
ボーっとしながら
塀を歩いていた
その時
ばぁーーーん!
え!なに!?
続けて
弾けるようなピアノの音
びっくりした・・・
どこからだろう?
耳を立たせたら
向かいのおうちから
流れてきてる
行ってみよう
塀からお庭に飛び降りて
ガラス戸の前にきた
細くて白い指の男の子が
ピアノを叩くように弾いていた
わぁ・・・すごいなぁ・・・
大人しいはずのピアノなのに
音が飛び回っている
すごいすごいすごい!
僕も歌おう!
クロみたいに!
しばらくして
僕の鳴き声に気づいた男の子が
ガラス戸を開けた
「え、猫?なんで?」
ほあ!邪魔した!?ごめんね!?
「どっから来たんだコイツ・・・」
たまたま歩いてたよ!
「にゃーにゃーうるせぇなぁ・・・」
あ、この人、性格悪い(*´∀`)
「まあ、せっかくの観客か」
「なんか弾いてやる」
ほえ!?いいの!?
男の子が戻って
両手を構えると
華奢な指が
鍵盤を叩く
聞いた事のある
たくさんの曲が
繋がるように
跳ねるように
踊るように
流れ出した
うわぁぁぁ!
楽しい!わぁい!
僕は歌いながら
お庭で飛び跳ねた
男の子は満足気
「楽しいかぁ?」
楽しい!すごい!
もっと聴きたい!
「よしゃ、今日はここまで」
えーおわり?
「また来いよ!」
わかったー!また来るねー!
ああ、楽しかったぁ!
・・・あれ?
僕、今
主様を・・・忘れてた・・・?
僕は黒猫だ
色んな所に忍び込んで
楽しみを見つける
発見するのって
すごいことだね
主様には楽しい事
あるのかなぁ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます