転生を繰り返した出来損ない勇者はお役御免かと思ったら次は幽霊退治!
@asasegawa1215
第1話 俺は勇者じゃない
勇者に転生した、はじめは人生やり直しのチャンスだと思って必死に頑張った。
そう、本当に頑張っていたんだ。
けど現実は残酷で、いつも魔王に対峙し、最後の戦いで敗れた。
それを何回も、何回も繰り返した。
何度目かわからない敗北をした。
俺は疲れてしまったんだ。
そんな時転生したのが東京だった。
結局俺はニートがお似合いだったってことだ。
「いたっ」
ゴン。と鈍い音と頭の痛みで目が覚めた。
「ニートがなんて夢みてんだろ…」
結局何度転生しようと役立たずの俺は役立たずのまま。
何かを成し遂げることもできずに平和な日本へ戻ってきてしまったのだ。
「やーっと、お目覚めですの?」
「え、誰…」
なんだろうか、自身の多すぎる転生経験よりこの女はろくなやつではない。
そう直感的に思うのだ。
「待ちくたびれましたわ。この腐れニート」
何故俺は初対面の女にここまで言われなくちゃいけないのだろう。
けど事実だから黙るしかなかった。
「さて、あなた。今回の転生ではろくに活躍どころか両親の遺産でニート生活とは」
「なんで俺が転生者だって…」
「ワタクシも、転生者の1人、だからですわ。そんな話をしに来たんじゃありませんの。なぜ今回あなたは勇者としての役目を放棄しているのか、と聞いているのですわ」
「勇者?なんのことだ。今回は生まれたときから東京住みの一般人だよ」
「何をとぼけてますの?」
何やら話がかみ合わない。
「あなた、もしかして…後ろのそいつ見えてませんの?」
「なんのことだよ?」
後ろのそいつ。なんて言われたら誰でも振り返ってみたくなるだろ。
「う、うわああああああああ!」
ぎょろりとした目。人の形ではない、動物でもないナニか。
ソレが俺のすぐ真後ろに立っていた。
「今まで見えていませんでしたの…?どうして…」
「そんなこと言ってる場合か!逃げるぞ!」
「は?!ちょっとなんでワタクシの腕まで引くんですの!」
***
「ちょっと!離してくださいまし!」
「あ。悪い、撒けたか?」
「後ろをごらんなさい」
いや、そういうことを言うってことはいるんだろう。
知ってて振り向くやつがあるか。
「いい加減ワタクシの話を聞く気になりましたこと?」
「あ、あぁ」
「いいですこと。あなたは今世もしっかり勇者ですの。
まぁ勇者というか除霊師ですが」
「除霊?」
「まぁ日本式勇者だとでも思っておけばよろしくってよ」
「話が見えないんだが…」
「つまりあなたにも幽霊退治していただくということですわ」
除霊師。今まで勇者かニートという二択だった俺が。除霊師。
「元々あなた、勇者という人気者ポジションが似合うようには見えなくってよ」
「失礼な奴だな!」
「うるさい方ですこと。もう話すこともありませんし、実践あるのみですわ」
そいつ連れていきますわよ。と俺の背中を指す。
もう絶対にいる。知らんぷりしてたのに。
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