『お兄さま』って呼ぶもんか!
くらんく
第1話 お兄さま
私は高校一年生の西園寺さつき15歳。誕生日が来たら16歳です。
私は小学校、中学校と女子校に通っていた、いわゆる箱入り娘というやつですが、「一般常識を学んだほうが良い」という家族の強いススメで、兄と同じ高校に通うことになりました。一般常識くらい私にはあるってのに本当に心配性です。
兄さんは私より二つ年上なので三年生。受験の年だというのに危機感がまるでありません。いつもヘラヘラニヤニヤしていて、玄関の靴は揃えないし、麦茶はちびっとだけ残すし、お菓子はいろんなのに手を付けます。本当に困った兄貴です。
両親は共働きで家を空けることも多いので家事は分担でやる決まりなんですが、だらしのないおにいには任せられないのでほとんど私がやっています。
でもこのままではにぃにぃが、妹離れできない可哀そうな人間になってしまいます。ここは私が一肌脱いで、ブラザーを真人間に……
ってさすがにコレはおかしいです!!
――私はこれからお兄さまのことを何と呼べば良いのでしょうか
今まで普通だと思ってたんです。『お兄さま』って呼び方が。
共学の高校に入学して一か月、「さつきちゃん変わってるね」って言われて、そこで初めて知りました。お兄さまが私を騙していたんです。子供のころからずっとそう呼ぶものだって教え込んで。
中学時代の友人は、「お嬢様っぽいな」って気にしてなかったそうですが、お兄さまは普通の学校に通っている身。知らないはずがありません。
私に間違った常識を植え付けておいて何が「一般常識を学んだほうが良い」ですか。
私はもう怒りました。
これから二度と『お兄さま』とは呼びません!
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