第84話 アンドロイドのアップデート

”絶望のダンジョン”踏破して、新しく従魔になった『スラ』と『イム』の強さを見せつけられたハヤトファミリーは益々”熱き絆”の戦力アップが行われ、ブルネリア王国内のダンジョン制覇を目標に掲げて新たに動き出した。


古代都市遺跡群や”古代都市アテナスのダンジョン”を制覇したことによっていくつかの貴重なアーティファクトを手に入れることができたハヤトファミリーはラーッティーやセリーヌ、ハヤトが装備するとともに、アンドロイド3人衆に中級以上の

魔法が打てるように、ハヤトは組み込まれている部品のパワーアップをはかるのだった。


工房に引きこもり中級魔法の魔法陣に必要な各パラメーターを考え、彼らに組み込まれているAIの変数を上書きしながらおよそ20時間、昼食休憩を挟んで深夜まで掛かってやっと組み替えを終了して、ドリス、アレン、ガードマンに組み込んだ。


途中夜食をセリーヌが工房まで持って来てくれて、明け方まで付き合ってくれた。


とりあえず試験は日付が変わって、ハヤトとセリーヌが起きてからにする。


いつもより3時間ほど遅い朝9時に起きた二人は【次元収納ボックス】に入っているピロシキとボルシチにマナバイソンのステーキにサラダで朝食を取り最後にいちご紅茶を飲んで全員で地下の訓練所に向かった。


まずドリスから試験を始める。


「ドリス、僕らに念話で何か話しかけて!」


”朝食はいかがでしたか?きょうは朝食を作れずすみません”


「OK、念話は大丈夫だね。次は音声合成で普通に喋って」


「おはようございます、中級魔法が撃てますように」


「音声も大丈夫だね、ちゃんと発音できていたよ」


「視力、聴力、筋力、魔力、諸々大丈夫?」


「はい、特に違和感は感じません」


「それじゃ、手を剣に変化させて、そのあと翼で飛んでみて」


「剣に変化できますし、ほら、飛べますご主人様」


「動き的には全く問題ないね、その辺は変更をかけていないからね、次はいよいよ変数を変えた、魔法発動領域のチェックだよ」


「まずは、基本魔法の【ファイアボール】、【ウォーターボール】、【ウィンドカッター】、【アースニードル】を順番に放ってみて」


ドリスは順番に無詠唱で難なく発動させた。


「基本魔法は問題ないね、次は問題の中級魔法だよ、【ファイアエクスプロージョン】、【ウォーターエクスプロージョン】、【ウィンド・トルネード】、【ロッククラッシュ】【マッピング】を順番に発動させてみて」


ドリスは先ほどと同様に順番に言われた魔法を初めて発動させてみる。


「ご主人様、全て発動して、放つことができました。【マッピング】は左目に地図が出現しました」


「【マッピング】は僕らは頭の中に浮かんでくるのだけど、ドリス達は左目に出現するように仕様を変えたんだ」


ドリスの後はアレンも同様に基礎魔法から中級魔法まで順番に発動させて見せた。


最後はガードマンだ。


彼も基礎魔法から中級魔法を順番に発動させて、問題なくできることがわかった。


ガードマンの場合は、魔剣『霞』に魔力を通して魔剣として使えるかチェックした。


問題なく魔剣『霞』はその力をいかんなく発揮した。


「3人とも問題なく中級魔法を発動させれるようになったから、中級魔法の種類を増やしていくように時々訓練をしてみてくれるかな」とハヤトはさらに注文をだす。


「いずれは、【隠蔽】、【インビジブル】、【結界】なども徐々に身につていこうね!」と3人に伝えた。


3人のアップデートを順調に終えて、いよいよ本格的にまずはブルネリア王国内の全てのダンジョンに挑戦しようと動き始める。


数日間、ハヤト達は地下の訓練所でドリス達アンドロイドの性能アップした動きを確認しつつ、『スラ』と『イム』の討伐スタイルを打ち合わせしている。


何しろ二人の魔法師スライム夫婦は魔物の全てを消化してしまうので、素材や討伐部位の納品に差し障りが有り、基本的には魔物素材を必要としない魔物の討伐や、脅威的な魔物を相手にするときに協力して貰うことにした。


ファミリーの戦闘スタイルは、斥候兼魔法剣士のラッティーとアレンが先頭を行き

ガードマンとドリスがセリーヌとハヤトを守る形で二人を挟んで進み、『スラ』と『イム』がしんがりで後方を守ることにした。


訓練所でのそれぞれの戦闘スタイルで訓練を終了し、朝食を終えたハヤトファミリーはケープの冒険者ギルドに向かった。


ギルドの裏手に『万能乗用車』を駐車させてドリス、アレン、ガードマンと『スラ』、『イム』は車の中でハヤト達が戻ってくるのを待つことにした。


ハヤトとセリーヌ、それにラッティーが受付に行って、ブルネリア王国内の未だ冒険していないダンジョンの場所を聞き出している。


「キャロルさん、この前”絶望のダンジョン”を踏破したのであと残っているダンジョンを教えてもらえませんか?」とハヤトがキャロルを捕まえて聞いてくる。


「ハヤトさん達が殆どブルネリアのダンジョンを踏破したのでこの国に残っているのは後2箇所のダンジョンだけですよ」


「その2箇所のダンジョンの名前を教えてください」とハヤト。


「一つは”奈落のダンジョン”もう一つは”深層のダンジョン”のに2箇所です」


「どちらも、ケープで登録してこちらにダンジョンコアなどを納品してもいいわけでしょ」


「ええ、構いませんよ」とキャロルが答えた。


「それではとりあえずは”奈落のダンジョン”の方を先に冒険して来ます」


ハヤトはファミリー全員の冒険者カードを提出して記録してもらってから、再びカードを受け取り裏手の『万能乗用車』を止めているところに向かった。


”奈落のダンジョン”はオルデラの東側海岸線に存在するダンジョンだ。


ケープの街からは馬車で行くと4日はかかる距離なので、空を飛ぶことにした。


ハヤト達を乗せてギルドの裏手の通りから垂直上昇をし、高度800メートルから水平飛行を開始する。


ダンジョンを直接管轄するオルデラの冒険者ギルドに一応声だけかけてくれとキャロルから申し受けているのでオルデラの街を目指して時速1000キロで飛ぶ事およそ2時間半ほど、やっとオルデラの街並みが見えて来たあたりで地上に降りて下を走行し、街に入る。


街は人口5万人ほどの小都市だ。


早速冒険者ギルドに向かい、ハヤトのカードを出して、”奈落のダンジョン”に潜る旨伝えてハヤト達はダンジョンに向かった。

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