第61話 武道大会(4)
オルバル帝国帝都ベロニカに着いて、翌日の朝食後にギルドの訓練場でビズモンドはBランクの冒険者パーティー”夜明けの光”4人と模擬戦をし、あっという間に勝ち
次にハヤトの騎士ガードマンと模擬戦をして、本気を出して渡り合い、引き分けて
気持ちよく練習を終えて宿に戻って来た。
ハヤト達は、周りに【サーチ】をかけており、しっかりと数人の冒険者風の男達がビズモンドを殺意を込めた鋭い視線で見つめて居るのをキラービーの複眼でも確認して録画した。
宿に戻った、ビズモンドと”夜明けの光”の連中はシャワーを浴びて模擬戦の汗を流して居る様だ。
ハヤトとセリーヌは部屋に戻って、キラービー3匹が検知して録画した殺意のある冒険者風密偵達の映像を5人で共有して、しっかり警護できる様に彼らの顔を覚えた。
ガードマンはビズモンドの部屋の入り口に腰掛けて警護し、部屋はハヤトが天井から床まで丸々【結界】で守って居る。
”夜明けの光”のメンバーはリーダーの部屋に集まって先ほどの模擬戦での感想と反省会をして居る様だ。
「僕らの力じゃまだまだSランクのビズモンドさんに叶わないのは仕方ないが1分ももたないのは情けないな」とリーダーのケインズが話し始めた。
「まず、キャメロンの魔法が全くビズモンドさんに効かないのはどうしてだ?」
とボビーがキャメロンに聞く。
「私にもわからないけど、私の魔力では彼の剣の力に贖いきれず消されてしまうのでしょうね?」
「魔力を最大にしてもさっきの訓練では同じだったよね」と斥候のミルズもいう。
ガードマンとの模擬戦の後ビズモンドに請われて魔法師のキャメロンが色々な魔法攻撃をビズモンドに放って、彼が対魔法戦の訓練をした時の話だ。
キャメロンの魔法師としての力は低くはないがBクラスが妥当の力でこれからのばしてもAクラスの低位止まりの魔力だろう。
それでも魔物に対しては十分パーティーとして機能を果たしてくれる大切な戦力になって居る。
ケインズとボビーに至っては二人で突っ込んで行っても数秒で戦闘不能にされあのだからキャメロンをなじる資格もない。
しかし、自分たちの後に出て来たガードマンはビズモンドに劣らぬすごい動きで模擬戦を展開していた。
ケインズは自分たちが【身体強化】をかけてもあれ程二人の様に動き回れないのを認識して居る。
彼ら二人の動きは全く4人には見えなかった。
”ブルネリア王国王家の騎士団長ハロルドさんがハヤトと奥さんは従者の3人よりも遥かに強い”と言っていた。
”ガードマンさんのあの動きよりも凄いと言うことか”ケインズはそんな人の戦いを見てみたいと思った。
もっとも帝都に来る途中で魔物を討伐する二人の戦い方を見るととてもじゃないが
普通の人たちでないとわかる力だった。
奥様は弓で10本の矢を一度に連射するし、ご主人のハヤトは剣を横に払って10匹以上の魔物を瞬殺してしまう、そんな人がギルド職員として帯同して居ることに、はてなマークがつきっきりのケインズだった。
”夜明けの光”の4人は夜の対応はハヤト達がすると言うので、日中から夕方迄のビズモンドが宿に戻るまではしっかり警護しようと相談してキャメロン、ミルズは二人の部屋に戻って行った。
その日は何事もなく2日目の帝国での夜が明けた。
朝食をハヤト夫妻と”夜明けの光”4名にビズモンドが揃って朝食を食べて居る。
「ビズモンドさん、明日は武道会オープニングのセレモニーが10時からギルド隣の競技場で行われるのでそれだけ参加したらギルドの練習場で訓練されますか?」
「いや〜、翌日からシード冒険者達も出て来ての試合なのできょう目一杯体を虐めて明日はセレモニーに出た後はのんびり体を休めるよ」
「そうですか、では今日は朝食後にギルドの練習場に行って、ガードマンとみっちり模擬戦でもしてお過ごしください」とハヤトが言うと、
「ガードマン君、もう少しギアをあげてくれてもいいぞ!決勝戦ではオルバル帝国のS級の冒険者が残ると思うからね」
「わかりました、この後の練習ではもう少しギアアップで行きます」とガードマン。
”あれでも二人はギアアップしてなかったのかよ!本当に凄いな”とケインズが思って居ると、
「ケインズさん達は周りを見て、敵意や殺意に注意して警護してください。模擬戦中を狙って魔法で襲って来るかもしれませんので・・・」とハヤトが4人組みの冒険者に注意喚起をして、冒険者ギルドの練習競技場に皆で向かって行った。
練習場にはオルバル帝国のSランク冒険者アドルフが偶然来ていた。
ビズモンドとアドルフはお互いSランクの冒険者なので面識があるらしい。
ハヤトは【鑑定】をすれば察知されると考えそのスキルは発動していないが醸し出す雰囲気でビズモンドといい勝負だと感じて居る。
「ビズモンド! 久しぶりだな。お前と優勝争いをするまで負けるなよ」
「アドルフ、お前こそ俺とやりあう前に負けて会えないなんて言う事にならない様せいぜい気張ってくれよ!」
お互い、火花を静かに散らして牽制し合っている。
4人の警護の冒険者は周りを見回して緊張の面持ちですぐに対処できる様みがまえている。
「ケインズさん達、もう少し肩の力を抜いた方が次の動作に動けますからもう少しリラックスして周りを観察して見てください」
ハヤトは練習競技場全体に【サーチ】をかけて警護に支障がある輩をあぶりだしていく。
数人が殺意を持って潜んで居るので、ドリスとアレンで対処して瞬時に二人の顔を
悟られない様に意識を刈り取り、その後に動きができない様手足の片方ずつを切り落として止血して放置した。
総勢5名の族がビズモンドを狙っていたがそれぞれ秘密裏にハヤトの従者が処理して何食わぬ顔でビズモンドとガードマンの模擬戦を見て居る。
昨日より少しギアをアップして戦う二人、さしものアドルフも驚いて二人の戦いを見て居る。
ビズモンドが更にギアをあげると、同様にガードマンもそれに対処してあげて来る。
まるでビズモンドに合わせる様にどこまでも対応して来るのでビズモンドも倒せる方策が尽きた様だ。
模擬刀を下ろして、吹き出す汗をぬぐい「ガードマン、君の力は底なしか?俺がギアを上げると君もあげて、流石に倒せる気がしなかったよ。おかげで良い運動になった。午後もまたお願いする」
「こちらこそ、ビズモンドさんがどんどんギアアップするので付いていくのに必死でとても攻め込むまでには行きませんでした」
「いやいや俺から見たら俺に合わせて余裕で受けていたぞ、ハヤト君から怪我させるなとでも言われて居るのだろう!しかし君らの力は底なしだな」
「とんでもないです、剣技ではビズモンドさんの方が私より間違いなく上ですよ」
そう、言い合って居るところにアドルフがやって来て、
「ビズモンドと対等に剣でやりあう相手がブルネリア王国にまだいたのか?君は大会にでないのかね?」
「私はあくまでもビズモンドさんの警護でギルド職員をして居る人間なのでビズモンドさんがあなた様と決勝で戦えるまでは怪我の一つもしてもらっては困るのであくまで黒子に徹してます」
「ビズモンド、君のところには良い練習相手がいて羨ましい!俺のところはAランクの奴らもあまりたいした奴がおらんので本気の練習ができないのだ」
「アドルフ、練習できないで俺に負けてくれ。そしたら晩飯ぐらい奢ってやるぞ」
「うちの帝国のお偉方が五月蝿いからそうもできんのだ!せいぜい頑張るからよろしくな」
「ああ、決勝戦でな!」とビズモンド。
全員で宿に戻ろうと競技場を出て宿に向かう道すがらどこからかの屋根から矢がビズモンドめがけて飛んで来る。
ガードマンが簡単に盾で防ぎ、射られた場所に一瞬でアレンが【転移】して矢を射った人間を始末した。
ハヤトが一緒に【転移】し、死体は【イレージング】で消し去り何事もなかった様に皆に追いついて歩き出す。
「ハヤト君すまんな! 処理してくれて」
「大丈夫ですよ、我々の正体もわからない様に【隠蔽】を施して動いたので他人から検知されてません。矢を射った人間はこの世界から死体もろとも消えてますから」とハヤトが話すと、
「オルバル帝国もすごい相手を敵に回したものだ」と豪快に笑うビズモンドだった。
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