第54話 アルトリアのダンジョン
ハヤト達がオルバル帝国のアーロン宰相が送り出した刺客全てを消し去って数日後
ハヤト達一行は隣国のアルトリア王国に向かって『万能乗用車』を走らせていた。
ケープを出てハーゼルからアルトリアの国境検問所に向かうハヤト一行。
国境検問所の街アルトリア王国ブリンデンの街で無事入国手続きを済ませて王都ロザルンに向かう途中の都市アストリア迄ひた走る。
ケープを出て半日以上、途中で運転をアレンに代わってもらい後ろの机でマナバイソンのステーキとコンソメスープに野菜サラダとクロワッサンを昼食で食べてアストリアの街に3時ごろ着いた。
アストリアの街に入る城門の衛兵がハヤト達の乗る『万能乗用車』を見てえらく驚き「ブルネリア王国には凄い魔道車が有るのだな!流石『空飛ぶ船』が行き交うと聞いて居るが錬金術がうちらよりかなり発展している」と驚いている。
冒険者ギルドの場所を聞いて受付にハヤトがカードを出してオススメの宿を聞く。
「”旅のともしび”という宿がこの直ぐ1軒隣にあり、安くて美味しいとの評判です」と丁寧に教えてくれた。
車を裏の庭に止めていつも通りに【結界】を張ってドリス以下3名は中で過ごす様にしてもらい、宿の扉を開ける。
「いらっしゃいませ〜にゃん!お泊まりですにゃん?」と幼い猫娘ちゃんが聞いて来る。
「はい、2泊ほどダブルでお願い出来ますか?」
「大丈夫にゃん、1泊銀貨1枚ですにゃん」
ハヤトは銀貨2枚を渡し、215号室の鍵をもらい、食事時間等を聞いて2階に上がる。
なかなか広々とした部屋で大きなダブルのベットが置かれゆったりとできる。
先ずはシャワーを浴びて着替えてからガードマンだけを連れて街を回ってみることにする。
街はケープよりは人口が少ないがそれなりに栄えている感じでハヤト達は一軒の魔道具屋に入る。
ハヤトは気になる物はないかと見ていると槍だの短剣や剣の置かれている所に誇りを被ってぼろきれに包まれた剣を見つける。
気になり【鑑定】をかけてみると”力なき者が持つと魔力を吸い取られて絶命するが
従わせることが出来れば炎を放ち、切れぬ物は無い最強の味方になる魔剣”と出た。
「ご主人この剣はお幾らですか?」
「お兄さん、そりゃやめたほうがいいよ。今まで5人ほど買って行ったが翌日返品してきて中には命を落としたものもいるほどだからな」
「ガードマン、君が持っている剣はミスリル製で高価だけど特に魔剣とかの類では無いからこの剣を持って見て」
そう言って、ハヤトはぼろきれを取って、ガードマンに剣を握らせた。
剣からガードマンに剣の意思が流れ込み”お主は我を従わせる事が出来るのか?”と言ってきた。
ガードマンが”我がお主を今後持つ主人だ!我に従え”と凄く強い思念を剣にぶつけて鍔迫り合いを演じている。
しばらくすると、”やっと我が主人に出会えた、今後ともよろしく願う”とガードマンの思念に剣の声が流れ込んで来る。
勿論ハヤトにも分かり、「ご主人これを購入するからおいくらかな?」
「なかなか買い手がつかなんだから金貨1枚でいいよ」と言うのでハヤトは金貨1枚を払って、ガードマンに魔剣を渡し、今までのミスリル製を【次元収納ボックス】に戻した。
「ご主人様ありがとう御座います。この剣と盾で必ずやご主人様達の役に立てます」と興奮しながらハヤトに礼を言って来る。
「ガードマン、今まででも十分だけどこの剣でさらに攻撃のバリエーションが増えるので頑張ってね」とニコニコして店をでる。
宿に戻って、ガードマンは車に入りハヤト達はその足で食堂に行く。
「夕定食はヒメラギオンの塩焼きと野菜炒めにパンかご飯ですにゃん、どちらにしますか?にゃん」
「僕はご飯、セリーヌはパンでしょ?」
「はい」とセリーヌ。
「それじゃ、ご飯とパンですにゃん」
しばらくして秋刀魚に似た焼き魚定食が来た。
スープが味噌汁でないのが残念だが久しぶりの焼き魚で美味しく二人は食べた。
2階に上がり翌日のクエスト受けるために二人は手を繋ぎながら早々にねる。
朝食を食べて冒険者ギルドに歩いて5人で向かい『万能乗用車』は【次元収納ボックス】に入れ、ギルドの扉を開けて受付嬢の元に行く。
「すみません、このギルド管轄のダンジョンは有りますか?」
「アストリア管轄のダンジョンは2箇所ほど有ります。この街から一番近いのは”幻のダンジョン”で南門を出て東に3キロほど行った丘に入り口が有り衛兵がおりますので直ぐわかるかと思います」
「まだ未到破何でしょうか?」
「はい6階層までは踏破されておりますがその先は・・・」
「分かりました、それでは行って来ます」
ハヤト達は『万能乗用車』に乗って南門から目的の丘を目指して動き出した。
数分で衛兵が居る”幻のダンジョン”入り口に着いた。
ハヤトのカードを提示して、5人と3匹と銀龍のいつものメンバーで入って行く。
「前衛はアレン、ドリス、中衛にセリーヌ、後衛は僕とガードマンで行くよ」そう言ってハヤト達は1階層をおりて行く。
1階層はコボルトでアレンが剣で5匹の首を簡単に切り落として、死体も魔石もスルーしてダンジョンの肥やしにする。
2階層に行くと森林ステージで、グリーンウルフの群れが20数匹いる。
中衛のセリーヌが真っ先に対応して5連射を放ち一瞬で5匹を葬り、アレンとドリスが剣で飛びかかって来るグリーンウルフの首を、胴を切り裂いて行く。
中に居る一際大きいがたいのウルフがボスの様で、統率が取れた攻撃をして来てアレン達も簡単に首を切り落としていけない。
「ガードマン、君も参戦してくれ」とハヤト。
ガードマンが参戦して今まで統率が取れていた群れに歪みが生じ20数匹いたグリーンウルフの群れもボスウルフと素謡ノグリーンフルフになったところでセリーヌの”連射の弓”から放たれた魔力の矢がボスウルフめがけて飛んで行く。
ボスウルフが気が付いた時にはすでに遅く顳顬(コメカミ)に魔力を込めて矢が突き刺さり頭を砕いた。
ボスを失ったウルフの群れは3人のアンドロイドのもはや敵では無く、あっという間に瞬殺されて首を落とされてしまう。
ハヤトが【次元収納ボックス】に回収して、3階層に進む。
3階層は海のステージで『万能乗用車』に乗り込んで海へと潜行すると、すぐにクラーケンを発見。
車から銛を打ち込み数マンボルトの高圧を放電して殺し、回収。
さらに進むと海の王者バハムート(海龍)がいる。
銛などでは逆に車がひっくり返されるので、ハヤトがレーザー砲を放った!
レーザー砲の破壊力を持ってしても1発では瞬殺できずハヤトは『魔筒砲』に念を込めて放つと当たった瞬間に頭を砕き細かい破片にして殺した。
初めて『魔筒砲』を使うほどの相手にあって驚く5人、このダンジョンの厳しさを認識する。
このダンジョンを6階層迄踏破されて居ると聞いていたがその時には海龍バハムートは出現しなかったのだろうか?
通常のSランクでは相手にならない強さだと思うのだが、とハヤトが疑問を感じつつ4階層に向かう。
4階層は平原ステージでマナバイソンが3匹いる。
攻撃力は然程強くは無いが、突進力が半端じゃ無く馬力も有る。
ここはアレンが2匹を仕留めドリスが1匹の首を切り落として割と楽にクリアした。
5階層は密林ステージで、カエル系の魔物スフィア・フロッグが紫色の舌をチョロチョロと出して、合間合間に毒液を飛ばして来る。
ドリスが【アイスニードル】をスフィア・フロッグに放ちあっという間に討伐するがすぐ後ろにはウォーターベアがいて、アレンに向かって攻撃をして来る。
アレンがウォーターベアの片腕を切り落とし、体を躱して一回転して素早く裏を取り首を切り落として何とか刈り取る。
さらに進むとポイズンスネークの大蛇がいた。
セリーヌが離れた距離から頭めがけて5本の矢を連射するが鱗に阻まれて全てを跳ね返されてしまう。
アレンが切り掛かって行くがやはり硬い鱗に阻まれて剣先が弾かれてしまった!
セリーヌがすぐに【マジックリング 】から『魔拳銃』を取り出し念を込めて連射すると放たれた魔弾ジャイロバレット弾は硬い鱗に当たると、そこから弾が高速回転で鱗を突き破りポイズンスネークの頭と胴体の数カ所に移動しながら内臓まで食い込み一気に破裂して大きなポイズンスネークは砕かれた。
やっと密林ステージを抜け5階層の平原ステージ迄来た。
ちょうどその頃ブルネリア王国の王様宛にオルバル帝国ハンニブ皇帝から有る招待状が届いていた。
ベンジャミン国王と宰相ブレンディーは頭を抱えていた。
”その招待状とはオルバル帝国でこの度武術、魔法大会を催す運びになり、是非貴国の最強の冒険者、魔法師を参加させて大会に花を添えてほしい”との誘いであった!
「王様、これは絶対に『空飛ぶ船』を作った冒険者を特定して秘密裏に拉致しようとするオルバル帝国の謀略ですぞ!」とブレンディーが国王に言う。
「わしも見え見えの誘いをして来て目的がわかるだけに断りたいのだが下手に断ると我が国の騎士や魔法師、冒険者は大したことがないと広めるつもりだろう。しかしそれも片腹痛いので冒険者ギルドのケントに相談してみるか?
そんな話し合いが宰相と王様の間で話されていた。
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すみません、コロナの影響で濃厚接触者になり隔離状態になってしまい、数日間投稿ができないため予定では来週半ばあたりから再開します。
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